2019年12月23日

同月内の入社・退職で厚生年金保険料が戻ってくるケース

  会社に就職しても、いろいろな事情でその月内に辞めたというケースはたくさんあると思います(同月得喪と呼んだりしています)。このとき社会保険に加入していると、たとえ月末前に退職しても1か月分の社会保険料を払わなくてはなりません。通常は給料から天引きされますので、いやおうなく納付することになります。
  
 これは法律でそのように決めているからで、ここはどうしようもないというのが現状ですが、ある条件を満たすと、天引きされた(納付した)厚生年金の保険料が1か月分だけは戻ってくるということがあります。他方、健康保険料や介護保険料はどのような場合でも戻ってきません。 日本年金機構のホームページにも簡単ですが説明があります。   会社に就職しても、いろいろな事情でその月内に辞めたというケースはたくさんあると思います(同月得喪と呼んだりしています)。このとき社会保険に加入していると、たとえ月末前に退職しても1か月分の社会保険料を払わなくてはなりません。通常は給料から天引きされますので、いやおうなく納付することになります。

 こんなケースで考えて見ましょう。

 Aさんは、X社に12月1日付で正社員として入社しました。会社はすぐに社会保険と雇用保険加入の手続きをとりましたので、健康保険証も程なく届きました。
  ところが、3週間ほど勤務したところで、Aさんにその会社を辞めなければならない事情が急に発生しました。そこで会社に相談したところ、12月25日に退職することで話がまとまりました。
 Aさんは、翌日の26日に、自分が住んでいる市役所に行って国民年金と国民健康保険の加入手続きを済ませました。

 この会社は、毎月25日が給料日なので、会社は翌1月25日に、Aさんが指定した銀行口座に日割りで18日分の12月の給料を振り込みました。当然、社会保険料や、所得税を天引き後の金額でした。

  しばらくすると、会社に年金機構からお知らせが来ました。退職したAさんの厚生年金保険料を会社負担分も含めて会社に払い戻すので、手続きをしてくださいという内容でした。 会社は、払い戻しを選択したので、後日振込みがありました。 還付された厚生年金の保険料は社員負担分(給料から天引きされた額)と会社負担の合計額でしたから、会社はAさんに社員負担分を返金しました。

  という、ストーリーですが、大事なポイントを確認しておきましょう。
1. 入社した月に厚生年金保険に加入(資格取得)している。  
2. その月の月末前日までに退職(資格喪失)している。 
3. その月の給料から厚生年金保険料が天引きされ、日本年金機構に納付されている。  
4. その月の月末までに国民年金に切り替えている、または転職先で再度、厚生年金の資格取得をしている。
5. 日本年金機構からは、退職者にではなく、会社に社員負担分も含め厚生年金保険料の全額が返金される。

 1~5までのうち、5は会社に返金手続きをしてもらう必要があるので、前もって、注意喚起と返金の依頼をしておく方が確実です。

 この払い戻しの仕組みは平成27年から導入されたので、まだ知らない会社がたくさんあると思うので、こうしたケースがあっても、保険料払い戻しのお知らせを無視してしまったり、振込みによる還付ではなく、よくわからないまま翌月の社会保険料との相殺を選択してしまったりすることも十分あると思うので、注意が必要です。 なお、退職理由は会社都合でも自己都合でもどちらでも払い戻しされます。

 保険料の払い戻しをしてもらうために、もうひとつ大事なことは退職日を月末の日としないことです。たとえば12月なら31日、6月なら30日というように末日に退職すると、その月の社会保険料は1か月分払わなくてはなりませんし、戻ってもきません。これは、末日退職の場合の資格喪失日は翌月1日になるからです。末日退職はその日まで社員(社会保険に加入していた)だということなのです。一番わかりやすいのは、健康保険証は月末日(の午後11時59分まで)まで使えるということです。

 社会保険料納付の大原則は毎月末日にどの制度に加入していたかで払う保険料が決まります。したがって月末に退職するとその月は社会保険に加入していたことになり、保険料が発生するという仕組みになっているのです。

 逆に言えば、保険料納付月数を国民年金としての1か月よりも厚生年金としての1か月のほうを選びたいというときは、会社と相談の上、月末日で退職とすることで実現できます。 実は将来もらえる年金額を考えた場合には、厚生年金としての1か月のほうが、国民年金としての1か月よりも多く支給されるからです。ただし、これはあくまでも年金を多くもらうということだけを考えた場合の対応ですから、退職の際にはさまざまな事情があれるとおもいますので、それも考慮の上で最善の対応をとってください。

 そして国民年金に切り替えたときは保険料の納付または免除申請を忘れずに行い未納期間が発生しないようにしてください。

 もう一度おさらいです。 社会保険の同月得喪の場合には、厚生年金保険料が戻ってくる場合があるので、事前に会社に返金の依頼をしておくことが必要。 ということです。

2016年1月29日

ユニオンってなんですか?

ユニオン(Union)とは人の集まりですから、労働法の世界では働く人の集まり、つまり労働組合(組合)ということになります。

組合と聞くと、会社の中にある組織で、「ウチの会社の組合」などと呼んだりして、身内のように捉えていることが多いかもしれません。これは社内組合のことですね。でも、社内組合の場合には、管理職以上の役職者、パートタイマーやアルバイトは加入できないということがあったりして、同じ会社で働きながら、地位や、雇用契約の種類によって、組合員だったり、非組合員だったりすることが出てきます。これはその社内組合が決めたからそうなっているので別に法律に違反したりはしていません。

これとは別に、社外組合や合同労組と言って(ユニオンは社外組合のことを指す場合が多いです)、文字通り会社の外にあって、誰でも加入できる労働組合があります。ネット検索するとたくさん出てきます。最近、学生アルバイトの方が加入して話題になっているユニオンもありますね。ユニオンは働いている人なら、名称肩書にかかわらず誰でも入れる、一人でも入れることを原則としていますが、ユニオンによっては個別の決まりがあるかもしれませんので、ご自身でご確認ください。

では、労働組合は何をしてくれるのかといえば、働く人たちの労働条件の向上や改善について組合という組織を通じて会社と交渉して、より多くのものを勝ち取ってくれることです。社員がたったひとりで、社長と交渉しても力関係に大きな差がありますから、どうしても自分の要求のすべてを通すことは難しいですが、組合という社員が束になった組織で会社と交渉することで(団体交渉と呼んでいますが聞いたことがあるかと思います)、より多くの要求が通る可能性が高くなるということです。この組合活動の目的は、社内組合でも社外組合でも同じです。

組合は労使トラブルの解決にも力を貸してくれます。パワハラやマタハラの被害にあっている、給料を一方的に大幅にカットされた、レジの不足金を自腹で払わされた、などなど自力での解決が難しいと思った時は、ユニオンに相談してみるのも一つの方法です。
2015年9月6日

病気が治ったのに職場復帰させてくれない

主治医の診断書ももらっているのに、職場復帰を会社が拒否するなら、その根拠を示してもらいましょう

病気は治ったが、病気の原因となった上司のいる元の職場に復帰したくない

会社には、社員の健康に配慮する義務がありますから、 主治医の診断書をもとに、別の職場に復帰させるように要求することができます。

休職前の業務ができないなら、職場復帰はさせられず解雇するといわれた

職種を限定して採用されたのでなければ、配置転換により別の業務に従事させるなどして、 雇用を維持する努力をしなければなりません。 主治医の診断書に、従前の仕事は無理でも、それより軽度の仕事ならできるなどの記述があれば、 それを元に別の職場への復職を要求しましょう。

休職期間が終わっても復職できないので解雇といわれた

復職の可能性について、会社が何を根拠に、復職できないと判断しているのか確認しましょう。 別の職種で復職できる可能性があるならそれも要求しましょう。 業務が原因の労災事故による病気やケガの治療のために休職しているときは、 その治療期間と治ったあとの30日間は、法律によって、解雇できません。
2015年6月25日

産休中の社会保険料も免除になります

産休期間中も健康保険、厚生年金などの社会保険料が免除されます。
ポイントは、社員負担分だけでなく、会社負担分の保険料も免除されるということです。産休により会社を休んでいるときは、会社も保険料負担がないので、もはや、会社に迷惑がかかる、ということはありません。

免除期間中も、健康保険証は使えますし、厚生年金も保険料を払ったことになりますから、お得な制度です。免除された保険料分はみんなで分け合って負担しましょうという考えに基づくからです。

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日本海庄やの従業員過労死事件

マスコミ各社が9月27日に報道したところによれば、この過労死事件について、会社と役員個人の責任を認める判決が確定したとのことです。

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休職期間中に解雇されることはあるのですか?

労災事故(通勤災害は除きます)以外の理由で病気になったり、ケガをしてしまって、働けない状態の時に、会社が休職をさせることあります。(私傷病による休職)

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有期契約の契約社員は育休を採れないのですか?

契約社員だから一律に育児休業を取れないということはありません。確かに、男性の育休取得は話題になっても(イクメン)、有期雇用契約社員の育休取得は進んでいません。育休取得の申出をや取得したことによって、不利益な取り扱いをすることは(契約を解除されるなど)法律で禁じられていますから、会社にも制度の仕組みをよく理解していただく必要があります。

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パートタイマーなので健康診断は受けられないと言われました。

会社は、『常時使用する労働者』に対して、1年以内ごとに1回、定期に健康診断を行わなければならない義務があります。(安衛法66条、安衛則44条) ここで、常時使用する労働者とは、どのような基準で決まっているのかをご説明します。結論からいえば、パートタイマーだからという理由で、一律に健康診断を受けられないということはありません。

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半年契約のパートですが、適性がないから、試用期間で終わりと言われました。

契約期間が決まっているパートタイマーの方に、試用期間を設けるというのはおかしな話しです。試用期間というのは、本来、定年まで働いてもらう正社員(期間の定めのない労働契約)を採用するときに、自社での適格性を判断するための期間(1ヵ月~1年程度)として使われるものです。ですから、短期の雇用契約に試用期間を設けても意味のないことになります。

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赴任先から自宅への帰りにけがをしましたが労災は使えるのですか?

労災事故の中には2つの災害のカテゴリーがあって、一つは仕事中に仕事が原因でけがや病気をした場合の業務災害と、自宅と就業場所との間の往復途中でのけがや病気をした場合の通勤災害とがあります。けがや病気になった本人が労災から受けられる給付や補償には、この業務災害と通勤災害との間に差はありません。

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