職場のトラブルにあってしまったとき、それが解決されなければ、次に進む気持ちになりませんね。
たとえ、それが会社を辞めざるを得ないことであっても、不本意なまま、あるいは納得できないまま、自分の気持ちを抑えて退職しても、心の中にわだかまりができてしまって、次の職場で十分に力を発揮できないかもしれません。あのときもっとちゃんと言っておけば良かったとか、どうして自分だけ辞めなければならなかったのかなど、冷静になって気持ちが落ち着いてくるとかえって後悔の念が強くなったりしてしまうものです。
職場トラブルの解決方法にはいろいろあり、一番手っ取り早いのは会社と直接交渉することですが、当事者同士で解決するのはなかなか難しいですし、やはり会社の方がさまざまな場面で立場が強いですから、会社に紛争解決の気持ちが全くないと(つまり、社長が会社は悪くないと思っていると)、とりつく島がないという状況になりかねません。
そこで会社と社員との間に第三者が入って、両方の言い分をよく聞いて、ある程度の証拠に基づいて解決に導いてくれたら、その解決案に100%は納得できなくても、会社も社員もできるだけ早く紛争を終わらせようという気持ちになりやすいものです。
このサイトでは通常の裁判以外の紛争解決方法について、主にあっせんについてその概要をお知らせしたいと思います。
あっせんで解決
あっせんでは事実確認をしないのですか?
あっせんでは、事実の確認をしないと言われましたが、それでは、会社の非を確認しないままどうやって和解したら良いのですか? 、というご質問をいただきました。 実際にあっせんの日に、あっせん委員(和解の仲立ちをしてくれる労働法の専門家)からそのようなことを言われることがあります。これは何のことを言っているかというと、社員と会社がお互いに主張しているような事実は、あったのか、なかったかとか、とか、どちらが正しいのかとか、そういったことについてはあっせんの場では判断しません、ということです。もちろんあっせん申立書や反論書に書かれていることはあっせん委員は十分読み込んで紛争の状況を熟知していますが、それに対してどちらの言い分が正しいといった判断はしないということです。 いろいろあったのでしょうが、お互いに譲るところは譲って、和解したらどうですか、という場を作ってくれるのがあっせんですので、勝った負けたとか、白黒決着つけるということを目的としているわけではありません。 例えば、解雇は無効だと社員が主張して、会社がいや解雇は有効だと反論して、お互いの言い分がぶつかっている時に、その解雇が有効なのか無効なのかを判定してもらうのではなく、その紛争状態をどう解決するかを話し合って決めるのがあっせんです。 解決の選択肢はたくさんありますので、両方が受け入れられる方法があればそれで和解しましょうということになります。 先ほどの解雇のケースで言えば、一例として、会社は解雇を取り下げる代わりに会社都合退職でも良いから会社を辞めてもらいたい。辞めてくれるなら、解決金として給料の3ヵ月分払うという条件を出してくるかもしれません。社員の方も、もうこんな会社にはいたくないから辞めることについては合意するが、再就職までの生活のこともあるので、3ヵ月分では足りない。永年にわたって勤めてきたのだし、世間相場も考えて、せめて半年分は出してくれなければ困る。といったことがあっせん委員のアドバイスなども交えて話し合われたとします。 こうなると、もはや、解雇が無効なのか有効なのかということは、大事なことではなくなっていて、自主退職で両方が合意し、あとは解決金をいくらにするかということが焦点になってきます。 間を取って4.5ヵ月、いや端数を丸めて◯◯万円、といった応酬があって、結局5ヵ月で両方がOKしたなら、これで和解成立です。 あとは合意書を作成して両者が署名押印して解決金が払われれば、もうこの紛争は解決しました。これから先は退職した社員も再就職活動に専念できるでしょう。 この記事を読まれた方の中には、これでは根本的な解決になっていない、とか、このような曖昧な決着では消化不良だ、あるいは、解雇は無効だという判定をもらうべきだ、などと思われる方もいらっしゃるかもしれません。そうした要望には訴訟で争って自己の主張を勝ち取るしかありません(勝てない可能性もあります)。 労働関係の紛争解決にはあっせん、労働審判、訴訟などの様々なメニューが有りますので、ご自身の目的に合わせて選択されるのが良いと思います。弊事務所では、ご相談内容やご本人のご希望もうかがった上で、どの紛争解決方法が良いかアドバイスもできます。社労士だから、あっせんしか勧めない、ということはいたしませんので安心してご相談ください。
あっせんにはどのような職場のトラブルが持ち込まれているのですか?
東京労働局が発表している、平成26年度に受け付けたあっせん件数1,073件の内訳があります。労働基準監督への相談件数が11万8千件でしたから、このうちあっせんに持ち込まれた割合は少ないとも思えます。件数はわかりませんが、労基署へ相談したあと、労働審判に行ったケースももちろんあると思います。 続きを読む…
あっせんは和解が前提
あっせんというのは、和解のあっせんを仲立ちしてくれるという仕組みのことです。ですから、トラブルになってしまった当事者(たいていの場合、社員と会社)の両方が、和解をすることを条件として、あっせんが開始されるということなのです。
もし、会社が、和解には応じるつもりはないと決めてしまえば、不参加、つまり、あっせんに出てくる必要もないということになってしまうので、あっせん不調となります。このような事にならないよう、特定社労士があっせん代理人をお引き受けしたときには、相手方(たいていの場合には会社)と直接話をして、あっせんに出ていただけるように説得することができます。
続きを読む… あっせんのメリットは何ですか?
あっせんには、裁判と比べていくつかメリットがあります。
続きを読む… あっせんって何ですか?
端的に言ってしまえば、会社と社員との間で起きてしまったトラブルについて、公的機関が和解による解決の仲立ちをしてくれる仕組みだと考えていただければよいと思います。
あっせんが扱えるのは社員個人と会社との間のトラブルです。(個別労働関係紛争と言います。)
会社(法人でも個人経営の区別なく)に雇用されて賃金を払われている人なら、パートタイマー、派遣社員、アルバイトなどの名称に全く関係なく、あっせん制度を利用できます。
続きを読む… あっせん申請書の書き方と提出先を教えて下さい。
あっせんは、「申請する」といいますが、申請書の提出先は、各都道府県にある労働局というところです。あっせんについての相談は、各地の労働基準監督署内にある総合労働相談センターでも応じてくれますが、いざ、あっせんを申請するとなると、労働局へ行って下さい、となります。
続きを読む… あっせんの限界は何ですか?
あっせん制度にも、限界があります。(デメリットというのとは違います)
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