時給が違うぞ-1
懲戒解雇と解雇予告手当-4
監督官から「わかりました。残業代未払いと解雇予告手当未払いの申告を受理します。このあとは担当者が決まったら川崎さんに連絡します。」との言質をもらって帰ってきました。当方の主張は全部聞いてもらうことができましたし、法律違反の部分が確認できれば、是正するよう指導するということです。川崎さんも、会社が解雇予告手当を払えば、それ以上の請求はしないと言っていました。
これは、当然と言えば当然のことなのですが、労働基準監督署は、あくまでも社員と会社の双方から事情を聞いて、労基法などの法律違反の事実が本当にあるのなら是正するように勧告するという姿勢です。片方(ほとんどの場合は労働者)からだけの言い分で、事態を判断することはしません。 こうした場合に、よく監督官から、「会社の言い分も聞いてみなければわからないので、確認してみます。」と言われます。我々はどうしても労基署は労働者の味方、的なイメージを持ってしまいがちですから、”どうして?” と思ってしまいますが、労働基準監督署は中立的な立場で、事実を元に判断し行動してくれる組織であることを忘れないようにしましょう。そうしないと、労基署は何にもしてくれないとか、会社の言い分ばっかり聞いて信頼できないなどという意見に引きずられて、監督官を非難することになってしまいます。労働基準監督署を非難しても、利益になることは何もありません。自分の意見や事態を正しく理解してもらえるように、事実関係を整理しておきましょう。
労基署に申告した2日後、川崎さんから電話があり、労基署の担当者から連絡があったとのことでした。
なんと、会社は、解雇予告手当除外認定の申請をしたとのことです
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労働基準監督署への申立書ができ上がりましたので、労基法違反があったことを申告するために川崎さんと一緒に、会社が登録されている労基署に行きます(管轄の労働基準監督署といいます)。
大規模な労働基準監督署には、総合労働相談コーナーが独立して設置されていて、そこに行けば相談員の方と話ができるのですが、今回はあまり大きくない監督署でしたので、「監督・労働条件」と書かれた窓口へ行きました。
奥から労働基準監督官(とおぼしき)男性が出てきて対応してくれました。
(続きを読む…)懲戒解雇と解雇予告手当-2
労働基準監督署への申立は、「私の代わりに解雇予告手当をもらってきて下さい」という事はできないのですが、その代わり、「会社がこのような法律違反をしているので、申告します」という言い方で申立書を書きます。今回のケースで言えば、「解雇予告手当を払わないという、労働基準法20条に違反する行為があった。」ということを書けばよいわけです。
でも、これだけでは十分ではありません。
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労災と解雇-4
病気やケガをして、長期間、会社を休むときに、休職という扱いを受けることがあります。休職中は、それが労災事故によるものであったとしても普通は給料は出ません。(ノーワークノーペイの原則)その代わり、(十分ではないにしろ)健康保険の傷病手当金や労災保険からの休業補償給付が支給されます。
労災と解雇-3
まず、労災保険給付は保険という名前が付いているとおり、あくまでも補償の1つの手段に過ぎないということを、理解していただく必要があります。
仕事中に仕事が原因でけがや病気をしたときの治療費や、会社を休んで給料が出ないときの、所得補填という意味での休業補償は、労災保険を使わなくても、加害者(がいれば)やその加害者が契約している保険会社から補償してもらってもよいし、会社が全額払ってもよいし(労基法第8章―災害補償)、労災から補償を受けても、どの方法を選択してもよいのです。
但し、二重、三重に、もらうことはできないので、どれか一つの補償しか受けられません。 (続きを読む…)