これは平成22年10月1日からスタートした雇用保険のさかのぼり加入特例のことです。
これは、2年以上前の期間も雇用保険の被保険者期間となる制度です。
例えば、自分は雇用保険料を払ったのに会社が手続きしていなかったので加入したことになっていない等です。
具体的に見ていきましょう。
1.会社が設立されたときに、雇用保険加入する手続きをしていなかった。
→ 会社を設立し、雇用保険の対象となる従業員を雇うと、会社は強制的に雇用保険の加入手続きをして、
労働保険料を納付しなければなりません。
2.上のような会社に採用されて、自分の給料からは、雇用保険料が引かれていた。
つまり、社員の方は、自分の負担分の雇用保険料を給料から天引きされていたのに、会社が雇用保険への加入手続きを忘れて(?)いたので、はオーワークから見れば、自分は雇用保険にその期間入っていなかったということになる。(これを、『特例対象者』といいます。)
もっと具体的にいえば、例えば、10年勤務して自己都合退職するまで、ずっと雇用保険料を給与天引きされていたのに、いざハローワークに行ったら、『あなたは会社が労働保険料を払っていないから雇用保険に入っていないので、失業給付はもらえません。』といわれたと言うことです。
これはあまりにひどいですね。仮に会社がさかのぼって雇用保険に加入しても、今までの仕組みだと、2年までしかさかのぼれないので、失業給付は10年未満の90日しかもらえませんが、会社が最初からきちんと手続きしていれば10年以上の120日分の失業給付がもらえたわけです。社員自身は、10年間保険料を払ったつもりなのに、会社のせいで損をしてしまうのは(不利益を受ける、と表現します)あまりにもかわいそうですよね。
それで、上の2つの条件を満たす場合には、保険料天引きの時期にまでさかのぼって雇用保険の被保険者期間を復活してくれるという制度が、今年の10月からスタートしました。
ここで大事なことは、給料から雇用保険料が天引きされていたことをどうやって証明するかということです。
会社には賃金台帳があるので、これで確認すればよいのですが、保存義務が3年しかありませんから、それ以前のものは残っていない可能性があります。
自衛策としては、毎月の給与明細を取っておくということですが、入社以来の全期間を取っておくのも結構大変ですから、
1.入社したときに(1ヵ月後くらい)、雇用保険被保険者証をもらっているか確認すること。もらっていれば、上記のような状態ではないということです。被保険者証はなくさないようにきちんと保管しておきましょう。
2. 被保険者証も渡されない、会社に聞いても曖昧な答え、給料からは雇用保険料が引かれているといった場合は、最寄りのハローワークで自分が今勤めている会社で雇用保険に入っているかどうか確認することができます。
でもやはり、給与明細書はできるだけ取っておいた方がいいですね。