最後の給料は取りに来い?

労務トラブルQ&A,給与問題 — タグ: — 2016年2月7日12:16 PM

Q バイト同士のちょっとしたトラブルがあって、バイト先の店を辞めたのですが、最後の月の給料は店に取りに来いと言われています。店長や他のバイトにも会いたくないのでそのままになっていますが、今までどおり振込してもらえないのでしょうか?


A これはよく起きている問題ですね。
お尋ねのケースでは、今までは、給料は自分の口座に振り込まれていたということですから、お店の経営者とアルバイトとの間で、給料は本人名義の口座に振り込みにより支払いますと約束していたわけです。それを一方的に、「給料は店に取りに来い」というのは約束違反になります。経営者に「いつもどおり振り込みしてください」と言うことは何の問題もありません。 給料を振り込みで払うということは、現在ほぼどこの会社でも行われていて、しかも法律違反ではありません。ただし、これは、給料は現金で本人に直接で払いなさいという労働基準法24条の例外的な措置ですから、これが認められるのは、会社と労働者が給料の振り込みについて同意した場合のみということです。両者が約束したのに、片方が(払う方)一方的に約束を守らないで義務を果たさない(給料を振り込まない)のは約束違反です。

ちなみに、労基法24条は賃金支払の5原則を決めていて、先ほどの、①現金で、②直接本人に、③全額を支払わなければならない、の他に、④毎月一回以上、⑤決まった日に給料を払いなさいという5つの原則を決めています。給料日は月末日払いの場合を除いて、勝手に動かしてはいけないし、来月差額を上乗せして払うから今月は半分しか払わないということも違法です。

ただし、「給料を取りに来い」が違法とならない場合がありますので知っておいてください。 それは、雇われるときに、「退職した月の給料は、現金で店の敷地内で支払う」という取り決めについてきちんと説明を受けているときです。きちんとした説明とは、雇用契約書などの労働条件が書面に書かれているものを見せられて、説明をされていることをいいます。

ですから、そのコピーをもらっておきましょう。バイトの初日に一言いわれただけでは忘れてしまうかもしれないし、最初は何のことかわからない場合もあるかと思いますので不十分ですから、書面で確認しましょう。

また、アルバイトが対象となるような就業規則があってそこに同じようなことが決められていて、それを読んで知っている場合には、「取りに来い」と言われても違法になりません。

では、最後の給料は取りに行かなくてはならなくなった場合に、誰か他の人に自分の代わりに取りに行ってもらえるでしょうか?

これは、先ほど見た「本人に直接払う」という労基法に違反するのでダメです。会社もリスクが高いので、他人(たとえ家族でも)に渡すことはしないはずです。そうすると、今までどおりに振り込みをするように会社に依頼するか、取りに行くしかありません。

そうならないためにも、バイト先をやめるときは円満退社を心がけてください。