無期転換という制度が、労働契約法という法律が今年(H25年)4月の改正で導入されたことで、少し世の中が混乱しているために出てきたご質問かと思います。
まず、正社員というのではなく、無期契約社員という立場になるという事です。
例えば、パートタイマーの方が働き方はそのままで、契約期間だけがなくなると捉えていただければ良いかと思います。働いている本人が希望しなければ、今まで通り契約更新型の働き方が続きます。
法改正の内容はこのような事です。
1.期間契約社員が対象です。(2ヵ月契約でも半年契約でも、契約期間の長さは関係ない)
2.平成25年4月1日以降に新規雇用契約して雇われたり、以前から勤務していた場合には平成25年4月1日以降に契約の更新をしたらそのときから、5年間継続して勤務している人が対象です。
(実際に対象者が出てくるのは平成30年4月1日以降です。)
3.契約が何度か更新されて、継続して5年間勤務し、5年目の契約終了時も更新されて6年目に入ったら、社員側から、何時でも会社に無期契約への転換を希望する事ができる。この時、会社の承諾とかは不要です。
4.6年目に入ったときには、無期転換を希望せず契約更新して、7年目以降に無期転換を希望しても良い。
5.希望した年の契約から無期転換されるので、契約更新の手続がなくなり、その人は無期契約社員となる。
無期契約社員となると何か良い事があるのか?
契約の更新がなくなるので、契約期間満了により退職(この事を雇い止めと呼んでいます)という事態がなくなります。もちろん、会社に定年退職年齢が決まっていればその時が退職時期となりますが、現在の法律では定年年齢は60歳以上で設定しなければならず、その後本人が希望すれば、再雇用などの制度により、65歳までは雇用を継続させなければならないとなっています。
つまり、無期契約社員になれば、解雇されない限り、そして本人が希望すれば65歳までは働けるという事になります。
これは、雇い止めのことをいつも気にしなければならない期間契約社員とは大きな違いと言えると思います。つい最近もハウス食品が契約社員89名を今年9月末で雇い止めにしたとのニュースが話題になっています。無期転換の事を念頭に置いた雇い止めかどうかは不明ですが、この例でも明らかなように契約社員には、雇い止めという事態が常につきまといますので、雇用が不安定になると言われています。
もちろん、雇い止めが正当な理由によるものなのかどうか問われるべきですが、長年勤めたにもかかわらず、一旦は退職となってしまうので、できればそうした生活上の不安を抱得ないためにも、無期転換制度が作られたと言われています。ただし、解雇という事態はあり得ます。
無期転換社員と正社員とは何が違うのか?
無期転換社員の労働条件を決めるのは会社で、法律で決めているわけではありませんが、法改正の考え方としては、契約期間以外の労働条件については今までと同じ内容の契約であるべきとなっています。
従って、正社員とは区別される場合があります。
例えば、ボーナスは出ないとか、退職金ももらえないとか、逆に正社員は転勤や出向があるけれど、無期契約社員にはそれが無いといった区別も考えられます。ここは、自分の会社は、無期転換社員の労働条件の中身を確認する必要があります。それがわからなければ、無期転換を希望するかしないか決められませんよね。
ただ、会社の方でまだ何も対応していない場合もあるかも知れません。 もし会社が無期契約社員用の就業規則を作ったという事でしたら、是非一通り読んでみて下さい。