契約期間がある雇用契約というのは、半年とか1年とかの期間を決めて、その会社で働くという契約です。
この契約期間は会社と社員の間の約束ですから、両者とも、この契約に拘束されます。ですから、どちらも、勝手な理由で途中解約することはできません。 これが原則です。
でも、もし会社が契約期間の途中で、「辞めて欲しい」とか、「解雇する」と言ってきたときには、どうすればよいのでしょうか?
労働契約法では、1つの独立した章をあてるほどこの問題を大きく取り扱っていて、第4章 期間の定めのある労働契約として第17条に、以下のように規定しています。
『使用者は、期間の定めのある労働契約について、やむを得ない事由がある場合でなければ、その契約期間が満了するまでの間において、労働者を解雇することができない。』
つまり、「会社は、契約期間中は勝手に解雇できません。」といっています。ただし、会社側にやむを得ない理由があるときだけは、例外的に解雇できる、となっています。このやむを得ない理由とは、例えば、会社が倒産してしまったとか、工場全体が閉鎖されてしまって、別の工場や本社にも転勤させられないときとか、社員が犯罪行為をして会社に甚大な損害を与えたときなどといった、極めて限定的な状況が考えられています。
そうすると、今度は、会社は、極端なことをいえば1ヵ月契約にして、何度も更新を繰り返しておいて、いつでも、『契約を更新しないので今月で終わりです。』と言える状態を作っておくことを考える事もあり得ます。実際そのようなことをしている会社があると聞いたことがあります。これでは、働いている方は不安でたまりませんし、でも契約終了(いわゆる雇い止め)と言われることに対して対抗できません。
そこで、17条の2項で、『使用者は(中略)その労働契約により労働者を使用する目的に照らして、必要以上に短い期間を定めることにより、その労働契約を反復して更新することのないように配慮しなければならない。』と決めています。働く方達にとっては、法律で「~してはいけない」と決めてくれていないところがちょっと不満ですが、会社に対して、ちゃんと釘を刺しています。
つまり、契約期間を決めて雇用するということは、本来は働いてもらう仕事の内容によって、雇用期間も決まっているはずだから、その本来の期間を契約期間としなさいといっているわけです。当然、契約を更新するかしないか、更新する、しない時はどのような場合をいうのか、等についても決まりがあって、有期労働契約の締結、更新及び雇い止めに関する基準、というもので細かく決められています。
契約期間の決まっている期間契約雇用の場合は、雇用契約書あるいは雇用通知書で契約内容を確認しておくことがとても大事です。
他方で、社員が契約期間中に辞めることに対してはなにも規定していません。つまりいつ辞めても、労働契約法上は問題になりません。
でも信義則上、会社に迷惑がかかるような辞めかたは慎みましょう。