事業場外労働のみなし時間制という制度があって、例えば、営業課員が、外回りの仕事をしていて、
会社ではその社員の実労働時間を把握できないときには、例えば8時間勤務したことにすると決めて、
その時間の賃金を払うことでよいとするものです。(労基法38条の2)
そうすると、例えばある日は6時間で仕事が終わってしまっても、別の日は10時間かかってしまったときでも
8時間働いたとみなして、2日とも8時間分の賃金をもらうことになります。
(つまり10時間働いた日でも残業代が発生しませんし、6時間であがっても賃金カットされません)
この8時間という時間は、法律で決められているわけではなくて、外(事業場外)でその仕事をするためには、
通常どうしても10時間かかるというときには、会社と社員との間で労使協定という取り決めをして、
その仕事を外でしたときは10時間働いたとみなして10時間分の賃金を払うということです。
ところが、労基法では更に、夜10時以降翌朝5時までの時間に働いたら、法律で決めている深夜割増(25%以上)が払われなければいけないのですが、この割増には事業場外のみなしは適用されないので、
これだけは別途賃金として払われなくてはいけません。
会社は、「何時間働いたかわからないので事業場外のみなしを適用しているのだから、深夜手当も払わない」
ということはできないのです。
この場合は自己申告でよいので、深夜に働いた時間は申告して深夜手当を払ってもらいましょう。
このみなし時間は、上司と一緒に外出したときには適用されません。
なぜなら、労働時間を把握すべき上司が一緒にいるのですから、会社は、実労働時間の賃金を払わなければいけません。
なお、所定休日(公休日)に働いた場合はみなし時間は適用されません。