この社長のような完全な勘違いは、頻繁にあるようです。
まず、労災保険給付は保険という名前が付いているとおり、あくまでも補償の1つの手段に過ぎないということを、理解していただく必要があります。
仕事中に仕事が原因でけがや病気をしたときの治療費や、会社を休んで給料が出ないときの、所得補填という意味での休業補償は、労災保険を使わなくても、加害者(がいれば)やその加害者が契約している保険会社から補償してもらってもよいし、会社が全額払ってもよいし(労基法第8章―災害補償)、労災から補償を受けても、どの方法を選択してもよいのです。
但し、二重、三重に、もらうことはできないので、どれか一つの補償しか受けられません。 これとは別に、業務災害によるけがや病気のために会社を休んでいる期間と治ったあと30日間は解雇できないことは労基法19条によって決められていて、どこから補償を受けるかは全く関係ありません。強いて言えば、労災から給付が出れば、業務災害であることが自動的に明らかになるということくらいです。労災を使わない場合でも、けがの場合は特に事故の状況から業務災害かどうかの判定は、それほど難しくありません。
つまり、労災保険を使う使わないは、解雇制限に該当するかどうかとは全く別の問題であるということです。これをごっちゃにして、関連性があるかのように解釈してしまうと、この社長のような事になってしまうのです。
これでやっと謎が解けました。わかってしまえば大したことではないという気もしますが、悩んだ私としては、本当にすっきりしました。
残業代については、町田さんが毎日の出勤時間と退社時刻を手帳につけていたのでこれを元に計算したものです。見て驚きました。朝3時に物流センターに行って、商品を積み、3時半から、配送先を回って9時にセンターに戻るというスケジュールです。
お店にいつも切れ目なく商品が並んでいるのは、こうしたドライバー達が、夜中も、朝早くからがんばっているからなんだと改めて思いました。
商品の売れ行きがよいときは、夜の配送がもう一回あるそうで、月に4~5回、配送作業を行っていました(ほぼ毎回4時間程度の勤務)。この夜配送の勤務時間に対しては、残業代が払われていませんでした。というのも、町田さんが採用時から持っていた、この会社の求人票には1日6時間勤務となっていたからです。日給制ではありませんでした。もしかしたら、会社は日給月給制と混同していたのかも知れません。(基本給などは月給で決まっているが、遅刻や欠勤があると、日割りや時間割でその分だけ引かれる給与体系のこと)それにしても、3年前の求人票を持っていたなんて、町田さんも捨てられない性格ですね。
『内容証明郵便なんか送ってきて!』と激高してしまった社長さんですが、内容証明郵便が来たと聞いただけで、かっとなってしまう人って結構いるものです。なので、相手を必要以上に怒らせてはいけないような場合には、いきなり内容証明郵便を送りつけることが良いかどうか注意する必要があります。かえって話がこじれてしまう場合もあるからです。
「大丈夫、大丈夫、社長はそんなに腹の据わった人じゃないから、この内容証明見て、きっとあたふたと動くはず。かっとなって怒鳴ったあとは、いつものパターンなら、知り合いの弁護士に電話してるはず。何か言ってきますよそのうち。」と涼しい顔しています。さすが、よくわかってらっしゃる。ここは、町田さんの言うとおりにして、特にこちらからは動かないでおくことにしました。その間に、もし労働審判に申し立てするとしたら、費用がどのくらいかかって、時間はどのくらいかかって、結果はどうなるかについて、話し合いました。私は、代理人となることができないので、弁護士に代理人を依頼するか、本人申立をするかを決めることの他、労働審判の仕組みや、日程のことなどをお話ししました。
2日後、町田さんから電話があり、会社の代理人弁護士から内容証明郵便が届いたとのことです。内容は、解雇は撤回すること、残業代は払うこと、労災給付の申請書は提出することと、当方の要求は全部受け入れる内容でした。ところが、職場復帰については、元の仕事に戻れるほどにケガが回復しているかどうかを見極めたいということを言い出してきました。
むち打ち症に完治はおよそ考えられませんから、つまるところ、表向き復職の拒否ですが、暗に辞めてもらえないかという打診ですね。
まず、労災保険給付は保険という名前が付いているとおり、あくまでも補償の1つの手段に過ぎないということを、理解していただく必要があります。
仕事中に仕事が原因でけがや病気をしたときの治療費や、会社を休んで給料が出ないときの、所得補填という意味での休業補償は、労災保険を使わなくても、加害者(がいれば)やその加害者が契約している保険会社から補償してもらってもよいし、会社が全額払ってもよいし(労基法第8章―災害補償)、労災から補償を受けても、どの方法を選択してもよいのです。
但し、二重、三重に、もらうことはできないので、どれか一つの補償しか受けられません。 これとは別に、業務災害によるけがや病気のために会社を休んでいる期間と治ったあと30日間は解雇できないことは労基法19条によって決められていて、どこから補償を受けるかは全く関係ありません。強いて言えば、労災から給付が出れば、業務災害であることが自動的に明らかになるということくらいです。労災を使わない場合でも、けがの場合は特に事故の状況から業務災害かどうかの判定は、それほど難しくありません。
つまり、労災保険を使う使わないは、解雇制限に該当するかどうかとは全く別の問題であるということです。これをごっちゃにして、関連性があるかのように解釈してしまうと、この社長のような事になってしまうのです。
これでやっと謎が解けました。わかってしまえば大したことではないという気もしますが、悩んだ私としては、本当にすっきりしました。
残業代については、町田さんが毎日の出勤時間と退社時刻を手帳につけていたのでこれを元に計算したものです。見て驚きました。朝3時に物流センターに行って、商品を積み、3時半から、配送先を回って9時にセンターに戻るというスケジュールです。
お店にいつも切れ目なく商品が並んでいるのは、こうしたドライバー達が、夜中も、朝早くからがんばっているからなんだと改めて思いました。
商品の売れ行きがよいときは、夜の配送がもう一回あるそうで、月に4~5回、配送作業を行っていました(ほぼ毎回4時間程度の勤務)。この夜配送の勤務時間に対しては、残業代が払われていませんでした。というのも、町田さんが採用時から持っていた、この会社の求人票には1日6時間勤務となっていたからです。日給制ではありませんでした。もしかしたら、会社は日給月給制と混同していたのかも知れません。(基本給などは月給で決まっているが、遅刻や欠勤があると、日割りや時間割でその分だけ引かれる給与体系のこと)それにしても、3年前の求人票を持っていたなんて、町田さんも捨てられない性格ですね。
『内容証明郵便なんか送ってきて!』と激高してしまった社長さんですが、内容証明郵便が来たと聞いただけで、かっとなってしまう人って結構いるものです。なので、相手を必要以上に怒らせてはいけないような場合には、いきなり内容証明郵便を送りつけることが良いかどうか注意する必要があります。かえって話がこじれてしまう場合もあるからです。
「大丈夫、大丈夫、社長はそんなに腹の据わった人じゃないから、この内容証明見て、きっとあたふたと動くはず。かっとなって怒鳴ったあとは、いつものパターンなら、知り合いの弁護士に電話してるはず。何か言ってきますよそのうち。」と涼しい顔しています。さすが、よくわかってらっしゃる。ここは、町田さんの言うとおりにして、特にこちらからは動かないでおくことにしました。その間に、もし労働審判に申し立てするとしたら、費用がどのくらいかかって、時間はどのくらいかかって、結果はどうなるかについて、話し合いました。私は、代理人となることができないので、弁護士に代理人を依頼するか、本人申立をするかを決めることの他、労働審判の仕組みや、日程のことなどをお話ししました。
2日後、町田さんから電話があり、会社の代理人弁護士から内容証明郵便が届いたとのことです。内容は、解雇は撤回すること、残業代は払うこと、労災給付の申請書は提出することと、当方の要求は全部受け入れる内容でした。ところが、職場復帰については、元の仕事に戻れるほどにケガが回復しているかどうかを見極めたいということを言い出してきました。
むち打ち症に完治はおよそ考えられませんから、つまるところ、表向き復職の拒否ですが、暗に辞めてもらえないかという打診ですね。