2月24日から、プレミアムフライデーが導入されるからと、経済産業省やデパートや飲食店、ホテルなどが盛り上がっているようです。
プレミアムフライデーは毎月の最後の金曜日は早く仕事を切り上げて、日常よりも少し豊かな時間を過ごしましょう。ライフスタイルの変革を目指しましょうという目的のようです。
「月末の金曜は,ちょっと豊かに」がキャッチフレーズです。
たまには早く帰ってリフレッシュしようという考え方は大変良いことだと思います。会社が導入に積極的なら是非参加して下さい。外国ではインターバル制などといって、退社してから次の日の出社時刻は10~12時間後とするような取り組みも行われています。たとえば、インターバル12時間制なら、深夜11時半に会社を出たら、翌朝は午前11時半に出社すれば遅刻にならないということです。日本政府も制度の導入を検討していますが、その前に、プレミアムフライデーを定着させておこうということなのかも知れません。でも来月の3月31日(金曜日)は無理かもです。たいていの会社は年度末・期末ですから、早帰りなんてあり得ないといわれてしまいますね。まあ、臨機応変に対応ということですね。
ところで、早帰りはいいけど、給料カットされるならごめんだ、という声が聞こえてきています。
なぜ給料カットになるか、
皆さんはもうご存じですよね。
ノーワークノーペイの原則があるからです。つまり働かなかった時間や日は給料を払いませんという原則です。これは法律違反ではありません。逆に残業したらその時間は全部について残業代が払われなければならないので、この原則が当てはまります。例外として、残業代が出ない管理職の人は、逆に遅刻早退も給料カットされないはずです。なので、管理職ならプレミアムフライデーで早帰りしても給料カットされないでしょう。
でも、自分の都合で遅刻や早退をしたわけでもないのに、会社が、「プレミアムフライデーだから3時を退社時刻とする」と決めたのに、それでもノーワークノーペイが当てはまるものなの? じゃあ、3時以降も残って働いたら残業代くれるの?
時給で働いている人は、早帰り分は払われなくても仕方がないの?
これらは全く正しい疑問です。
ところが、経済産業省は何も言っていません。賃金関連の担当である厚生労働省も、何も言っていません。(2月16日現在)
なぜでしょうか?
公式には何も発表されていませんが、私が勝手に考えるには、給料をどうするかは、「それぞれの会社で自由に決めて下さい」、ということなのでしょう。政府として、給料カットしてはいけませんとか、特別休暇扱いにしなさいなどとは命令できないのだと思います。
では、会社が取る対策にはどのようなものが考えられるでしょうか? 法的に見て問題とならないような具体例をいくつか挙げてみます。
1. 早帰り時間分は給与カットされる。
1年間で見れば12回プレミアムフライデーがあるわけなので、1回3時間とすれば36時間、4日分以上に相当します。会社にしてみれば1年間に4日も休日が増えたことと同じなので、これは給料を返してほしいと思うかも知れません。
他方、先ほどのように、働く人から見れば、これは会社が早帰りを決めたのだから、自分に責任はないので、給料カットはひどい、考えるのは当然です。
実はこの様な場合にどちらが責任を取るべきなのかを民法536条という法律で決めています(危険負担の原則)。プレミアムフライデーのケースは確定していませんが、普通に考えて、早帰りを決めた会社に責任があるので、その時間分の給料カットはできないと考えてもおかしくありません。その上、労働基準法29条では、会社責任の休業(早帰りも含まれます)に対しては休業手当(平均賃金の6割以上)を払うことが会社の義務として決められています。
会社が給料カットしたら、休業手当を請求しても良いかも知れません。時給制で働いている人も、本来のその日の終業時刻より早帰りとなるならその時間分に対する休業手当を請求しても良いと思います。
ただしどちらの場合も、会社が払う義務があるかどうかは今の時点では確定していませんし、2年を過ぎると時効により請求できなくなります。
会社に対しては、最低限、勤怠事故扱いにしない取扱だけはしてほしいです。そうしないと出勤率の悪化によって、ボーナスの査定に悪影響がでたり、翌年の有給休暇の付与に影響が出たりしかねませんから、社員の皆さんもこの点だけは確認だけはしておく必要があります。
2. 給料カットされない、または休業手当が払われる。
給料カットされないなら、積極的にプレミアムフライデーを活用しましょう。働く人がリフレッシュできて、翌週から(または翌日から)仕事がはかどるなら(生産性が上がるなら)、3時間分の給料くらい会社が払っても損しませんよね。
なお、休業手当(平均賃金の6割)が出ることになっても、労基法が決めている最低限のことは補償されるので、違法ではありません。
3. 時間単位の年休取得を推奨される
一部の会社ではこの日には、午後に半休を取るようにしたそうです。そうでなくても時間単位の年休取得制度が労基法39条の4項で規定されているので、たとえば3時間休暇を取れば、給与カットを実質的にゼロの状態にすることができます。でも入社したてでまだ年休がないとか、今年の年休は使い切ってしまったという人には、会社が特別休暇を与え足り、休業手当を払ったりするなどの配慮が必要でしょう。
なお、年次有給休暇の計画的付与という労基法39条6項の制度は、1日単位の休暇にしか適用できないので、プレミアムフライデーの早帰り対応の時間単位の年休取得はあくまでも社員の自主的な取得になります。忘れずに年休申請して下さい。
4. 1ヵ月単位の変形労働時間制が導入される
これは1日の労働時間を8時間と限定せずに、1ヵ月の中で、8時間より長く働く日もあれば短い日もあり、1週6日勤務や4日勤務もあるのですが、平均すれば1週間40時間以内に収まるように働くという方法です。もちろん必要なら残業もあります。
この方法なら、プレミアムフライデーの早帰り3時間分を別の日に上乗せして遅帰りとすれば、給料カットも時間単位の年休取得も必要なくなります。これが一番良い方法ですが、変形労働時間制は、労働時間管理が複雑になるので、プレミアムフライデーが定着するまでは会社も導入にそれほど積極的にはならないかも知れません。
すでに導入されている会社では、早帰りは珍しいことではないでしょうから,プレミアムフライデーの導入もスムーズかも知れません。この様な会社にお勤めの方は、大いに活用して下さい。
プレミアムフライデー導入について給料の扱いが問題になるという視点で取り上げました。給料は働く人にとって一番大事なことの一つですから、注意深く会社の対応を確認して下さい。
私的には、プレミアムフライデーは趣旨としては良いと思いますので、定着すると良いと思います。
プレミアムフライデーは毎月の最後の金曜日は早く仕事を切り上げて、日常よりも少し豊かな時間を過ごしましょう。ライフスタイルの変革を目指しましょうという目的のようです。
「月末の金曜は,ちょっと豊かに」がキャッチフレーズです。
たまには早く帰ってリフレッシュしようという考え方は大変良いことだと思います。会社が導入に積極的なら是非参加して下さい。外国ではインターバル制などといって、退社してから次の日の出社時刻は10~12時間後とするような取り組みも行われています。たとえば、インターバル12時間制なら、深夜11時半に会社を出たら、翌朝は午前11時半に出社すれば遅刻にならないということです。日本政府も制度の導入を検討していますが、その前に、プレミアムフライデーを定着させておこうということなのかも知れません。でも来月の3月31日(金曜日)は無理かもです。たいていの会社は年度末・期末ですから、早帰りなんてあり得ないといわれてしまいますね。まあ、臨機応変に対応ということですね。
ところで、早帰りはいいけど、給料カットされるならごめんだ、という声が聞こえてきています。
なぜ給料カットになるか、
皆さんはもうご存じですよね。
ノーワークノーペイの原則があるからです。つまり働かなかった時間や日は給料を払いませんという原則です。これは法律違反ではありません。逆に残業したらその時間は全部について残業代が払われなければならないので、この原則が当てはまります。例外として、残業代が出ない管理職の人は、逆に遅刻早退も給料カットされないはずです。なので、管理職ならプレミアムフライデーで早帰りしても給料カットされないでしょう。
でも、自分の都合で遅刻や早退をしたわけでもないのに、会社が、「プレミアムフライデーだから3時を退社時刻とする」と決めたのに、それでもノーワークノーペイが当てはまるものなの? じゃあ、3時以降も残って働いたら残業代くれるの?
時給で働いている人は、早帰り分は払われなくても仕方がないの?
これらは全く正しい疑問です。
ところが、経済産業省は何も言っていません。賃金関連の担当である厚生労働省も、何も言っていません。(2月16日現在)
なぜでしょうか?
公式には何も発表されていませんが、私が勝手に考えるには、給料をどうするかは、「それぞれの会社で自由に決めて下さい」、ということなのでしょう。政府として、給料カットしてはいけませんとか、特別休暇扱いにしなさいなどとは命令できないのだと思います。
では、会社が取る対策にはどのようなものが考えられるでしょうか? 法的に見て問題とならないような具体例をいくつか挙げてみます。
1. 早帰り時間分は給与カットされる。
1年間で見れば12回プレミアムフライデーがあるわけなので、1回3時間とすれば36時間、4日分以上に相当します。会社にしてみれば1年間に4日も休日が増えたことと同じなので、これは給料を返してほしいと思うかも知れません。
他方、先ほどのように、働く人から見れば、これは会社が早帰りを決めたのだから、自分に責任はないので、給料カットはひどい、考えるのは当然です。
実はこの様な場合にどちらが責任を取るべきなのかを民法536条という法律で決めています(危険負担の原則)。プレミアムフライデーのケースは確定していませんが、普通に考えて、早帰りを決めた会社に責任があるので、その時間分の給料カットはできないと考えてもおかしくありません。その上、労働基準法29条では、会社責任の休業(早帰りも含まれます)に対しては休業手当(平均賃金の6割以上)を払うことが会社の義務として決められています。
会社が給料カットしたら、休業手当を請求しても良いかも知れません。時給制で働いている人も、本来のその日の終業時刻より早帰りとなるならその時間分に対する休業手当を請求しても良いと思います。
ただしどちらの場合も、会社が払う義務があるかどうかは今の時点では確定していませんし、2年を過ぎると時効により請求できなくなります。
会社に対しては、最低限、勤怠事故扱いにしない取扱だけはしてほしいです。そうしないと出勤率の悪化によって、ボーナスの査定に悪影響がでたり、翌年の有給休暇の付与に影響が出たりしかねませんから、社員の皆さんもこの点だけは確認だけはしておく必要があります。
2. 給料カットされない、または休業手当が払われる。
給料カットされないなら、積極的にプレミアムフライデーを活用しましょう。働く人がリフレッシュできて、翌週から(または翌日から)仕事がはかどるなら(生産性が上がるなら)、3時間分の給料くらい会社が払っても損しませんよね。
なお、休業手当(平均賃金の6割)が出ることになっても、労基法が決めている最低限のことは補償されるので、違法ではありません。
3. 時間単位の年休取得を推奨される
一部の会社ではこの日には、午後に半休を取るようにしたそうです。そうでなくても時間単位の年休取得制度が労基法39条の4項で規定されているので、たとえば3時間休暇を取れば、給与カットを実質的にゼロの状態にすることができます。でも入社したてでまだ年休がないとか、今年の年休は使い切ってしまったという人には、会社が特別休暇を与え足り、休業手当を払ったりするなどの配慮が必要でしょう。
なお、年次有給休暇の計画的付与という労基法39条6項の制度は、1日単位の休暇にしか適用できないので、プレミアムフライデーの早帰り対応の時間単位の年休取得はあくまでも社員の自主的な取得になります。忘れずに年休申請して下さい。
4. 1ヵ月単位の変形労働時間制が導入される
これは1日の労働時間を8時間と限定せずに、1ヵ月の中で、8時間より長く働く日もあれば短い日もあり、1週6日勤務や4日勤務もあるのですが、平均すれば1週間40時間以内に収まるように働くという方法です。もちろん必要なら残業もあります。
この方法なら、プレミアムフライデーの早帰り3時間分を別の日に上乗せして遅帰りとすれば、給料カットも時間単位の年休取得も必要なくなります。これが一番良い方法ですが、変形労働時間制は、労働時間管理が複雑になるので、プレミアムフライデーが定着するまでは会社も導入にそれほど積極的にはならないかも知れません。
すでに導入されている会社では、早帰りは珍しいことではないでしょうから,プレミアムフライデーの導入もスムーズかも知れません。この様な会社にお勤めの方は、大いに活用して下さい。
プレミアムフライデー導入について給料の扱いが問題になるという視点で取り上げました。給料は働く人にとって一番大事なことの一つですから、注意深く会社の対応を確認して下さい。
私的には、プレミアムフライデーは趣旨としては良いと思いますので、定着すると良いと思います。