さっそく給与明細の分析に取りかかる。
勤怠の項目は全てきちんと表示がしてあります。その月の所定労働時間、平日の普通残業時間、深夜勤務時間、休日勤務時間、休日深夜勤務時間、遅刻早退、欠勤日数等です。ゼロなら「0」と表示されています。 残業時間までも綺麗に分単位で表示されています。
ますます、『しっかりした会社だな~』との印象が強まります。
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☆ このブログを読んで下さっているあなたへ
毎日の残業時間は1分単位で集計しなければいけないことになっています。
よくあるのが、毎日の残業時間を1時間未満は切り捨てて、1時間単位でしか残業を
つけないということをしているパターンですが、これは会社が法律違反をしています。
例えば毎日30分ずつ20日残業しても、上のようなことをしていたらその月の残業時間は
0時間となってしまいます。毎日を分単位で集計すれば10時間の残業代が発生します。
会社は、当然、10時間分の残業代を払わなければいけません。
例外として、1ヵ月間の残業時間の合計時間について、30分未満を切り捨てて、
30分以上を1時間に切り上げて、残業代の計算をしてもよいという事があります。
でも、これはそろばんや電卓を使って計算していた頃の名残ですね。
パソコン全盛時代の今、1分単位の残業代の計算も苦になりませんね。
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そこで私がやったのは、表計算を使って、実際に支払われた残業代や深夜手当の金額と、本来の時給1000円で計算したこれらの手当との差額を出すことでした。
データは全部そろっているので、数式を作り(といっても簡単なものです)あとは数値を当てはめていくだけです。3年分の給与差額の集計もそれほど時間がかかるわけではありません。
あとはセルに色づけしたり、本来払ってもらうべき数字を太字にしたり、3年分の差額の総計を白抜きにしたり等のお化粧をして完成です。
3年分の差額は30万円に近い金額になりました。まとまると結構な金額になるもんです。
さあ、会社は払ってくれるでしょうか?
ではなくて、これを少なくとも2年分は払ってもらわなければ、私も仕事をしたことになりません。
いよいよ次は会社宛に支払を請求する手紙です。
まずすることは、依頼者から原稿をもらうことです。私はあくまでも、それを和訳することがメインの仕事です。もちろん手紙の内容についてはアドバイスすることも期待されているはずなので、気を引き締めてかかります。
ご依頼者に差額の総額と手紙の原稿依頼についてメールしたところ、金額の大きさにびっくりしたようで、『こんなに会社が払ってなかったなんて!』『もし黙っていたら今後も損してたのかと思うと、怒りが収まらない!」と、やばい雰囲気です。
対決姿勢はいけません!
喧嘩はいけません!
会社の味方をするわけではありませんが、これはちょっとした事務的なミスだと思うので、あくまでも事務的に、払うべきものを払ってもらうだけという態度がこうした問題を円満に解決します。
それを、遅延利息だ!法律違反だ!払わなければ労働基準監督署へ申し立てるぞ!(と言ってもいいのですが) 戦闘モードになってしまっては、相手も敵対的になってしまいます。
ここは、気を落ち着けて、払ってもらうべきものをすぐに払ってもらう姿勢を貫きましょう。
というわけで、手紙のトーンは極めておとなしく、早期解決を求めるという調子にしました。
例えば時給が違うと言うことについては、
『当方が計算しますと、時給900円を基本としているという結果になります。』
とか、差額を払って欲しいと要求するのですが、
『御社でもお調べ頂き、当方の計算と同一の結果が出ましたら、差額をお支払いいただけるようお願いいたします。』
といった調子です。
さて、この手紙(日本語版と英語版)をご依頼者に送って、ご依頼者から会社の方に渡してもらうということにしました。
さていよいよ次は最終回。 結果はどうなったでしょうか?