懲戒解雇と解雇予告手当-3

コラム — タグ: — 2015年7月27日9:14 AM

労働基準監督署への申立書ができ上がりましたので、労基法違反があったことを申告するために川崎さんと一緒に、会社が登録されている労基署に行きます(管轄の労働基準監督署といいます)。

大規模な労働基準監督署には、総合労働相談コーナーが独立して設置されていて、そこに行けば相談員の方と話ができるのですが、今回はあまり大きくない監督署でしたので、「監督・労働条件」と書かれた窓口へ行きました。

奥から労働基準監督官(とおぼしき)男性が出てきて対応してくれました。

まず、口頭で会社が労基法違反をしていたことを伝えて、申告書を提出しました。
その監督官は黙って申告書を読んでいます。

と、顔を上げて、『雇用通知書ありますか?』と聞いてきました。
会社は出してくれていないこと、給与明細書は持っていることを伝え、それらの書類を見せたところ、なんと、『雇用通知書がなければ、あなたが会社に雇用されたかどうかはわからない。雇用契約が成立していないとすれば、解雇もないのだから、解雇予告手当を払う義務は会社にはない。』と言うのです。

川崎さんも私もびっくりです。言葉が出ません。面食らいました。

が、ここで引き下がってしまっては、何のために申立書を持ってきたのかわかりません。私は、『それはおかしいでしょ。雇用契約は口頭でも成立するのだから、雇用通知書がなくても、会社の命令を受けて、仕事をしてその対価としてこの通り給料をもらっているのであれば、雇用契約は成立しているはずです。雇用通知書はなくても、会社がハローワークで社員募集したときの求人票があるし、その裏には、採用時の労働条件について口頭で説明された際の本人の手書きのメモが残っています。これだけの証拠がありながら、雇用契約が成立していないと判断すのはおかしい。』とまくし立てました。さすがに汗が出てきました。川崎さんはあっけにとられたような顔をしています。

監督官は、求人票の表と裏を見ながら『契約が成立していないとは言っていない。会社との間に雇用関係があることを確認したかっただけだから、あなたが、このように雇用関係があることを申し立てるのならそれで結構。』とのことです。

監督官を味方に付けなければ、この申告は効果を生まないので、もう一言言いたいのをこらえて、『申告内容について確認をお願いします』とやっと言いました。

監督官はそのまま申告書を読み進めていきます。と、やおら『労働条件を明示していないのは労基法15条違反だね。』です。一応、こちらの言い分を受け入れてくれているようです。

こんなやりとりがあって、解雇にいたる事情、会社の対応などを説明しました。

監督官は『解雇理由についての是非はここでは問わないが、解雇予告手当を払っていないのは明らかに法律違反だから、会社に事情を確認します。』と言ってくれました。

これで一応申告はできたことになります。あとは、この案件の担当監督官からの連絡を待つことになりました。

これですんなり解雇予告手当が払われたのなら良いのですが、そうも行きませんでした。
続きは次回で