2016年3月30日

介護休業はなぜ93日しかないの?

介護離職ゼロ政策を掲げている現政権ですが、法律上取ることができる介護休業は最大93日となっています。
また、雇用保険から支給される介護休業給付金も93日が上限です。会社がもっと長期間の休業を認めれば別ですが、そうでない場合には、会社の規定もMAXで93日の介護休業がとれることとなっていると思います。

実際の介護ではとても93日では終わらないから、現実的ではないと考える方がたくさんいます。

ところが、介護休業の本当の目的は、少し違うところにあります。

たとえば、自分の親が要介護状態となったと思われるときには、介護保険を使って、介護サービスを受けられるように手配をすることになるわけですが、この手配にはかなりの手間と時間がかかります。
親が住んでいるところにケアマネージャーに来てもらわなくてはならなかったり、手すりなどを付けてもらうための工事に立ち会わなければならなかったり、そういった意味で、会社を休まなければならないことが多くなるので、法律で介護休業の制度を作り、休みやすくするようにしたということなのです。

この93日の範囲内であれば、丸1日休まなくても短時間勤務に切り替えて働くこともできるし、介護休業とは別に、毎年5日まで(要介護者が2人以上の場合は10日まで)の介護休暇も取れるようになっています(1日ずつばらばらに取ることも可能)。

要介護の親が、日常的に介護サービスを受けられるようになれば、自分は会社を長期に休まなくても(あるいは辞めなくても)良くなるので、準備だけはよくしておきたいわけですから、この介護休業期間(給付金ももらえる)を活用することが期待されているのです。

介護休業を、親の介護をするための休業期間だと考えてしまうと、とても短くて足りないから会社を辞めざるを得ないとか、会社も、戻ってこられないなら休業しないですぐ辞めてほしいとかといった方向に話が行ってしまいます。
そうではなくて、そうならないために、介護サービスを受けられるように準備するための期間ということであれば、介護休業も申請しやすいのではないでしょうか?

今年4月1日から改正される雇用保険法では介護休業給付金も増えるということなので、介護離職を回避するためにも介護休業の趣旨を理解して活用してください。
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2015年8月30日

雇用保険 通算すれば120日-3

というわけで、この方は、ハローワークに行って、さかのぼり加入の申請をしました。

もちろん会社もこれを認めて手続きしたので、120日分の基本手当をもらうことができました。

さかのぼり加入するときには、会社はその期間の雇用保険料(従業員負担分と会社負担分の合計額)を追加で納めなくてはなりません。当然と言えば当然です。

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2015年8月28日

雇用保険 通算すれば120日-2

入社してから3ヶ月もたった日に、雇用保険の加入手続をしたのは、誰の責任?

もちろん会社の責任です。

雇用保険の加入日は、雇用保険に加入できる資格がある社員なら、入社日です。

「さかのぼり加入と言っても、私はもう会社を辞めてしまっているし、そんなこと出来るの?」

「出来るはずですよ。入社したときの雇用形態は、正社員でしたか?
それとも・・」


「正社員です。毎日、9時から6時まで会社に行ってましたから。」


「それなら、入社日付けで、雇用保険の加入手続をしていないと法律違反ですね、その会社は。」

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2015年8月27日

雇用保険、通算すれば120日-1

「あの~、先生、質問があるんですけど・・・」と女性からの問い合わせ。

これは、私が、あるセミナーで雇用保険についての話をしたときのことだ。
対象は失業中の方達で、再就職をより早くできるように、職業能力のスキルアップを目指す、
という趣旨のセミナーだ。話の内容は雇用保険に限らず、失業期間中の社会保険についての
全般的な注意事項が中心だった。

雇用保険については、一番身近な基本手当(失業給付)を中心に説明した。

もう今では誰でも知っていることだが、例えば、『解雇や会社が倒産したことなどの理由による
離職については雇用保険の被保険者期間が6ヵ月以上あれば、基本手当は受給できる』等
がそれだ。

もう一つの大事なポイントは、雇用保険に加入できるかどうかは、会社が決めるのではなく、1週間の労働時間が20時間以上で、31日以上雇用されることが決まっている場合ということだ。働き始めたはじめのうちは20時間を超えていなくても、そのうち忙しくなってきて、毎週のように20時間以働いているときは、その時から雇用保険に加入することができる。
自分が、雇用保険に入っているかどうかわからないときは、給与明細書で雇用保険料が引かれているかどうかを確認すればよい。保険料は建設業や酒造業でなければ、給料の総額(税引き前の金額)の0.5%となっている。そのようなことを話してセミナーは終わった。

セミナーが終わってから、質問や相談が来るのは、受講者の方々がよく話を聞いてくださった
という証拠。講師冥利に尽きます。 ただし、ややこしい質問が多いのも事実。
この時も、「うっ、難しそうな話のような気がする・・・」

それでも、顔には出さず(のつもり)、「はい、どうぞ。どうされたんですか?」と私。

その女性の質問とは、

「私、離職票を2枚持っているんですけど、直近で辞めた会社が、3ヵ月雇用保険に入れてくれ
なかったので、その前の会社の10年の雇用保険の期間を合計できないってハローワークで
言われて。。。なので、今の会社の期間だけでは12ヵ月ないので、失業手当はもらえないって言われてしまって。。。
これって会社のせいですよね。何とかならないのでしょうか?」

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