社会保険の等級の決定

労務トラブルQ&A,給与問題 — 2015年6月25日10:25 AM

健康保険や厚生年金の保険料がいくら引かれているか、給与明細を見たことがありますか?
見れば、税金に比べてその金額の高さにびっくりしますね。でも、この保険料はどのようにして計算されているのでしょうか?

社会保険料は、毎月変動する給料に合わせて徴収していたのでは、計算が追いつかないので、給料を、等級にあてはめてしまいます。そしてその等級に応じた保険料を毎月控除する、というやり方をしています。そして、多少給料が変動しても保険料は1年間変わらないということにしています。(その年の9月から翌年の8月までの1年間)

この等級を決める手続きが毎年1回行われる算定基礎届です。これは4月、5月、6月の給料日に払われた給料の総額の平均額を出して、その金額を等級に当てはめます。

例えば、4月~6月の3回の給料の合計が60万円なら、平均額は20万円ですね。その20万円が当てはまる等級は、健康保険なら17等級となります。(厚生年金は13等級)

ところで、職場によっては3月が1年で一番忙しい月で、残業もたくさんあり、4月の給料は他の月に比べてダントツに高いという場合、4月~6月の平均額が高くなってしまいます。この金額を元に社会保険料が決まってしまったら、他の月は、保険料が割高になってしまいます。

そこで、修正平均を使うことができるようになっています。

これは、前年の7月から今年の6月までの1年間の平均給与額が当てはまる等級と、4~6月の平均給与額が当てはまる等級との間に2等級以上の差がある場合には、年平均の等級を使って届出します、という申立ができる制度のことです。当然年平均のほうが低い場合についてのみ該当します。

例を上げてみましょう。
1年平均額が当てはまる等級 : 200,000 17等級(健康保険)
4月~6月の3ヶ月平均の等級 : 240,000 19等級(健康保険)

この場合は、17等級が適用されますので、保険料も安くなります。 

この制度の申し出は、従業員の同意書が必要なので、会社が自動的にやってくれるわけではありません。
もし自分がこのようなケースに該当すると思ったら、会社に年平均での算定基礎届をしてくれるように頼まむ必要があります。
会社負担の保険料も安くなりますから、おそらく異議なくやってくれるのではないかと思います。

ただし、社員にとっては、保険料が下がることでデメリットもあります。
等級が下がるということは、保険給付の金額も下がることになります。

例えば、
① 健康保険の傷病手当金や出産手当金(産休中の給付)の金額が下がる。
② 将来受け取れる厚生年金の金額が減る。

このようなことをご理解いただいた上で、負担と給付のバランスを考えて、保険料軽減を選択するかどうか決めるようにしてください。