半休取って定時以降働いたら残業となるのですか?

労務トラブルQ&A,給与問題 — 2015年6月25日10:09 AM

最近は1時間単位で年次有給休暇を取ることができるようになったこともあって、半休取得率が上がっています。
ところで、午前休を取り、午後から出社したときに、定時の終業時刻を超過ぎても働いたら、その時間分は割増残業代がもらえるのですか?というご質問をいただくことがあります。

会社の取り決めによって決まることなのでどちらとも言えないのですが、ということは法律ではどう決めているのでしょうか?

この件に関連する法律は労働基準法(労基法)ですが、労基法の考え方はあくまでも実労働時間で、労働時間を見ます。
つまり、午前中有休を取得して、午後から勤務したときには労働時間は午後からスタートするので、そこから8時間を超えて働かない限り法定時間外労働にはならないという考え方です。1日8時間労働が法定労働時間ですがこの8時間には休憩時間が含まれないことからも、労基法が実労働時間の考え方で運用されているということがわかりますね。

でも、遅刻ならそうかも知れないけど、有休は有給休暇なのだから働いたのと同じことではないか、と思われるかも知れません。
ところが、本来の有給休暇の考え方は、労働を免除して体を休めるという点にあって、働いたことにはしていないのです。

そうなると、午前休を取った日は、午後1時から働いたとすると、そこから実働8時間までは通常の(割増の付かない)賃金が払われます。時給制の人なら、午前休の分(例えば3時間分)と午後の実働8時間分の時給が払われますが、割増は付きません。これが基本形です。

但し、今まで会社が、午前休を取った人でも、定時を過ぎて働いた分については割増をつけて残業代を払うことにしていたのに、急に一方的に、原則通りのやり方にしてしまうということは、ちょっと問題が残ります。これは、労働条件の不利益変更といって、働いている人たちに損害を与える行為としてとらえられます。会社にやむを得ない事情があるにしても、本来なら、会社が全社員から個別に同意を取ったり、労働組合と労働協約を結んで変更すべき問題です。

仕事が忙しい中でも、午前中どうしても休みを取らなければならない事情もあるでしょうから、やむを得ないとしても、休暇はできるだけ計画的に1日単位で取りたいものですね。

ちなみに、遅刻した場合も同様で、労働時間は会社に来て仕事を始めたところからスタートします。