昨年度のサービス残業代142.5億円

コラム — タグ: — 2016年3月22日10:13 AM
厚生労働省が発表した資料では、H26年度(H26/4~H27/3)に、労働基準監督署の是正勧告・指導を受けてサービス残業代が払われたのは1、329社で金額にして142.5億円だったとなっています。
この数字は、1社で100万円以上のサービス残業代を払ったケースをまとめたものなので、100万円に満たない金額のサービス残業代も監督署の勧告・指導によって払われたと思いますが、ここの件数には入っていません。

H26年度とH25年度(H25/4~H26/3)の数字を比較するとどのようなことが見えてくるでしょうか?
       H25      H26
是正企業数: 1,417社   1,329社

さかのぼって  123億円   142億円
払われた残業代

対象労働者数: 11.5万人  20.3万人

1社あたりの: 871万円   1,072万円
サービス残業代

労働者一人の   11万円   7万円
サービス残業代

1社で払った: 4.5億円   14億円
最高額

こうしてみてみると、H26年度はH25年度に比べて社員数の多い(規模が大きい)会社が労基署による是正・指導を受けたのではないかと思われます。いわゆる「かとく」(過重労働撲滅特別対策班)が東京都と大阪府に導入されたのはH27年度(H27年4月)ですから今年度はもっと金額が増えるかもしれません。

サービス残業が多かった業種は、製造業、商業、保健衛生業、建設業の順になっていて、この順番はH25年度も同じです。

労働基準監督署の是正・指導とは、どのようにして行われるのでしょうか?
労働者から労働基準監督署に対して、サービス残業させられていると申告することによって、監督官が会社に調査に行くというパターンが多いかと思います。 会社に事前の通知なしに、いきなり監督官が来ますので、会社はびっくりしますが、そうしないと証拠書類を隠してしまったり、破棄してしまったりするおそれがあるので、1回目は事前通告なしに調査に来ますが、職権乱用でも何でもありません。

サービス残業は労働基準法違反ですから、罰則もあります。会社と使用者(社長などの経営者)の両者が刑罰を受けるので、大変なことになります。

それよりも、過重労働によって、健康を害してしまったり、最悪の場合には命を落としてしまうこともあり(過労死や過労自殺など)、実際にこうした事件は頻発しています。労働基準監督署だけでなく、社会としてこうした悲劇をなくすためには、労基法違反をしている企業に、我々も目光らせていなければなりません。
その一つの方法が労基署へのサービス残業の申告です。口頭でもいいし、紙に書いて示してもよいのですが、できれば、勤務状況と給与明細書を示して残業していたことと、その残業代が払われていないことを証明しましょう。

それと、一番大事なことですが、長時間労働や過重労働はできるだけ避けて、健康を害さないように、自分を守りましょう。もしほかの人に迷惑がかかるからといって、自分ががんばればよいと思ってしまうような状況だったら、一人で抱え込まないで、助けを求めましょう。