2016年5月15日

休業手当は6割?8割?

先日来、自動車の燃費データ改ざん問題で、工場が休業状態となっていて社員が自宅待機となっている会社があります。
この社員には、自宅待機中も給料が払われるのでしょうか?
結論から言えば払われます。ただし全額とまではいかないようです。

先日新聞各社も報道していましたが、会社は、休業手当として平均賃金の8割支給を労働組合に提示したそうです。

休業手当とはいったい何のことか?と思われた方はこちらをご覧ください。そのページの後半部分でご説明しています。
かいつまんでいうと、会社側の事情や都合で働くことができなかった日については、社員は会社休業で働けなかった日についても賃金を請求できるということと、労働基準法という法律で、そうした会社都合の休業の日については強制的に会社に平均賃金の6割以上を払わせることができるというきまりがあるということです。

労基法26条(休業手当)では平均賃金の6割以上を支払わなければならないとなっていますから、会社と社員が合意すれば8割以上ならいくら払っても良いことになります。会社によっては、就業規則の中であらかじめ全額払うと決めているところもあります。なお、休業補償と混同しないようにして下さい。こちらは労災保険関連に出てくる用語です。
そこで、この自動車会社は、今回の工場の休業について、はじめから8割支給を提示したということです。交渉しだいで、どうなるかはわかりませんが、工場の休業についてはそこで車を作っている社員には直接責任はないのですから、賃金の100%を補償してもぜんぜんおかしい話ではないようにも思います。ただ、会社も経営危機が叫ばれているので、どこかで折り合いをつけて合意しましょうということで組合との話し合いが持たれているのだと思います。

労働基準法は、このように、働く人の生活を守るために、たとえ会社が営業できない日でも、その原因が会社にあるのなら、強制的に会社に賃金(休業手当)を払わせるという決まりがあります。

会社の経営者の中には、このことを知らない人がかなり多くいることも事実です。会社を休業するようなところは普通は経営が苦しいところが多いでしょうから、経営者は、「休業手当?仕事してない日なんだからそんなの払う必要ないでしょ?」といって逃れようとするかもしれません。そのようなことが起こらないように、働く我々も、法律で決まっていることを知って、正当な権利の主張をしましょう。
2016年4月1日

ノーワークノーペイとは何のことですか?

A. ノーワークノーペイの原則のことですね。

ノーワーク、つまり働かなければ、
ノーペイ、給料は払わない。

という原則です。たとえば、1日欠勤したら、一日分の給料を引かれてしまいますが、これは違法ではありません。働かなかった時間や日の分は給料を払いませんというノーワークノーペイの原則があるからです。

会社の就業規則か、給与規定をよく見ると、遅刻、早退や私用外出したときは給料を1時間単位で控除(カットすること)するとか、無給の特別休暇制度(欠勤扱いにはならないが、有給休暇ではない)があるといったことが書かれているかと思います。これはみんな、働いていない時間や日については給料は払いませんというノーワークノーペイの原則(労基法24条)が根拠になっています。

労働基準法24条は、「賃金は通貨で、直接労働者に、その全額を払わなければならない。」と定めていますが、全額とは働いた分について全額を払えと命令していることなので、裏返せば、働かなかった部分の給料は払わなくてよいということになります。

時給制や日給制の人なら元々そのような給料計算方法になっているので、当たり前のことかもしれませんが、月給制の人には基本給が減らされてしまうという事態が起きたら驚くかもしれません。
ただし、日割りや時間割で計算された欠勤控除以上の金額が引かれてしまっているときは、ペナルティー(制裁)も含まれているので注意が必要です。ペナルティーは上限が決まっているので、それ以上は控除してはいけないことになっているからです。これは少し複雑なので、こちらのページでご説明していますのでご覧下さい

さてノーワークノーペイにも例外があります。
こちらの方が大切なことなので覚えておいてください。

1番目は有給休暇です。年次有給休暇とか、慶弔休暇のような特別休暇(有給)は、会社を休んで働かない日や時間があっても給料を引かれないですね。最近は半日休暇や、時間単位の有休の制度がある会社も増えてきたので、活用してください。

もう一つの例外は、休業手当です。

会社を休まなければならなかったのは会社のせいで、自分のせいではないという時の所得保障のことです。これは民法536条2項の危険負担という考え方によるものなのですが、たとえば、会社が経営上の理由から工場や店を1ヵ月閉鎖したようなとき、社員はそこで働くことができません。ノーワークノーペイの原則を当てはめたらこの1ヵ月分の給料がもらえませんね。そこで、休業の理由が会社の責任だ(使用者の責に帰すべき事由がある)という場合には、社員は休業期間中の給料を請求できるというわけです。ただしこの民法の規定は会社と社員の合意(特約)により排除してしまうことができるので、就業規則でそのように定めている場合があります。

そうすると、社員としてみれば会社が長期間休業してしまうと、給料が入りませんから、生活できなくなってしまいます。そこで、労働基準法26条で、会社のせいで休業した場合には、会社に対して、休業した日について平均賃金1日分の60%以上を払うように命令しています。これは強制ですので、26条違反には罰則があります。もし、裁判になって、会社が負ければ、最大で休業手当と同額の付加金の支払い(倍返し)を命じられることがありますから、社員の権利はよく守られていると思います。よく休業補償と混同しがちですが、こちらは休業手当ですので就業規則の項目を探すときもご注意ください。

休業手当は就業規則にたとえ書かれていなかったとしても、労基法による強行規定ですので、26条を根拠に会社に請求できます。平均賃金の60%では低い思われるかもしれませんが、民法536条2項と違って支給が保障されているので、権利は保障されているわけですから、ある程度は妥協せざるを得ないかもしれません。もっとも条文上は「100分の60以上の手当を払わなければならない。」となっているので、就業規則で何も決めていなければ100%請求することも可能です。なお、この休業手当は給与所得として通常の給料と同様に課税対象となります。
2016年3月28日

午前休取って午後8時間働いたら?

Q. 午前休を取って、午後1時から夜9時まで働きました。終業時刻以降働いた時間は割増がつくのですか?

A. わかりやすくご説明するために、時給(¥1,000/時間)の方の場合で見てみましょう。
会社は朝8時から午後5時まで(昼休み:正午から1時まで)の8時間が所定労働時間とします。
ある日、午前休(4時間)を取って、午後1時から出社して、夜9時まで(途中で1時間休憩を取りました)働きました。この日は結局8時間働いたことになります。
普通に朝8時から会社に来て働いた場合には、所定終業時刻の5時を過ぎて働いた時間は法定外労働時間となって割増がつきます。時給が1,000円ですから、法定割増の場合なら25%増しの1,250円/時間です。
でも午前休(4時間)を取り、午後から出社して5時を過ぎて働いた場合は、払ってもらえる給料は結局いくらになるのでしょうか?

まず、午前休の4時間分は、1,000×4=4,000円です。(有給休暇ですから)
この4時間は有給、つまり労働しなかった時間でも無給としないで、給料を払いますと言うことなので、お金は払ってもらっても実際に働いた時間とはなりません。月給の人なら、この4時間会社に来ないで、働かなかったとしても欠勤控除されないで、通常の給料が払われると言うことです。

次に、午後1時から午後9時までの実働8時間分について見てみましょう。
1,000×8=8,000円です。
そうするとこの日の給料は、4,000円+8,000円=12,000円です。
午後5時以降の4時間分に割増がついていませんが、これで正しいです。
法定時間外労働(残業)したときの割増の考え方は、実働8時間を超えた労働時間に対して付くので、この日は午後1時から午後9時まで途中休憩1時間を挟んで8時間だけ働いたから、通常の時給1,000円だけでよいことになります。午前休の4時間分を足せば12時間となって、4時間分は割増がつくのではないかと考えがちですが、給料は12時間分払われているので不足はありませんし、休暇の時間や日にちは、働いていない時間なので、実働時間には含めないので、割増はつきません。

月給の人の場合も考え方は同じなのですが、月給と労働時間に関してご説明します。
ある会社の正社員で、基本給25万円ですが、勤務条件は、1日8時間勤務、1ヵ月平均の所定出勤日数は20日とします。
この人は、1年を通じて平均して1ヵ月160時間(8時間×20日)働くことで基本給25万円をもらっています。
ある日、所用ができたので、午前中4時間会社に来ませんでした。
これは通常は、遅刻か欠勤扱いとなりますから、不就労時間分として、4時間分の基本給(250,000÷160×4=6,250円)が引かれます。

でも、この日の午前中は会社に来られないことが前もってわかっていたので、事前に午前休の申請を出しておきましたから、6,250円の欠勤控除はされませんでした。
この人は、この日仕事が忙しかったので夜9時まで残って仕事をしました。(途中休憩1時間取りました)5時から9時まで働いた時間は割増がつく法定時間外の残業になるのでしょうか?

この日は実働8時間なので、法定時間外労働はないです。でも定時を過ぎて働いた4時間分は、1ヵ月の所定労働時間160時間を超えて働いた時間となりますから、割増がつかない時間外手当が追加されます。この月の月給は基本給25万円+時間外労働4時間分6,250円となります。なんとなく、朝8時から働いたのと同じだから、5時以降は割増が付く法定時間外労働になるのではないかという解釈が出てきそうですが、割増に限って言えば、実働時間が8時間を超えなければ付かないという原則があることを覚えておいてください。

たとえば、この日、夜9時までは働かないで、定時の5時に帰ったとしますと、この日の労働時間は4時間しかありません。所定就業時間の8時間に4時間足りません。でも午前休を取っていますから給料明細書上は、基本給25万となります。欠勤控除はありません。
2016年2月11日

雇用保険から就職祝金がもらえる?

雇用保険の再就職手当のことですね。

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2016年2月7日

最後の給料は取りに来い?

Q バイト同士のちょっとしたトラブルがあって、バイト先の店を辞めたのですが、最後の月の給料は店に取りに来いと言われています。店長や他のバイトにも会いたくないのでそのままになっていますが、今までどおり振込してもらえないのでしょうか?


A これはよく起きている問題ですね。
お尋ねのケースでは、今までは、給料は自分の口座に振り込まれていたということですから、お店の経営者とアルバイトとの間で、給料は本人名義の口座に振り込みにより支払いますと約束していたわけです。それを一方的に、「給料は店に取りに来い」というのは約束違反になります。経営者に「いつもどおり振り込みしてください」と言うことは何の問題もありません。 (続きを読む…)

2016年1月29日

ユニオンってなんですか?

ユニオン(Union)とは人の集まりですから、労働法の世界では働く人の集まり、つまり労働組合(組合)ということになります。

組合と聞くと、会社の中にある組織で、「ウチの会社の組合」などと呼んだりして、身内のように捉えていることが多いかもしれません。これは社内組合のことですね。でも、社内組合の場合には、管理職以上の役職者、パートタイマーやアルバイトは加入できないということがあったりして、同じ会社で働きながら、地位や、雇用契約の種類によって、組合員だったり、非組合員だったりすることが出てきます。これはその社内組合が決めたからそうなっているので別に法律に違反したりはしていません。

これとは別に、社外組合や合同労組と言って(ユニオンは社外組合のことを指す場合が多いです)、文字通り会社の外にあって、誰でも加入できる労働組合があります。ネット検索するとたくさん出てきます。最近、学生アルバイトの方が加入して話題になっているユニオンもありますね。ユニオンは働いている人なら、名称肩書にかかわらず誰でも入れる、一人でも入れることを原則としていますが、ユニオンによっては個別の決まりがあるかもしれませんので、ご自身でご確認ください。

では、労働組合は何をしてくれるのかといえば、働く人たちの労働条件の向上や改善について組合という組織を通じて会社と交渉して、より多くのものを勝ち取ってくれることです。社員がたったひとりで、社長と交渉しても力関係に大きな差がありますから、どうしても自分の要求のすべてを通すことは難しいですが、組合という社員が束になった組織で会社と交渉することで(団体交渉と呼んでいますが聞いたことがあるかと思います)、より多くの要求が通る可能性が高くなるということです。この組合活動の目的は、社内組合でも社外組合でも同じです。

組合は労使トラブルの解決にも力を貸してくれます。パワハラやマタハラの被害にあっている、給料を一方的に大幅にカットされた、レジの不足金を自腹で払わされた、などなど自力での解決が難しいと思った時は、ユニオンに相談してみるのも一つの方法です。
2016年1月18日

レジの不足金を自腹で

アルバイトがレジを任されている時に、不足金があると、その分を勝手に給料から引かれてしまう事故が起きています。 これはほとんどのケースで2つの重大な違法行為です。

ひとつ目は、レジの担当だったアルバイト店員に故意または重過失があった場合にしか損害賠償できないからです。 (最高裁の判決が基準が示されています)
例えば、お釣りを渡すときにわざと(故意に)お釣りを多く渡したとか、新商品を発注する際には店長の承認が必要なのを知っていたのに、承認をもらわないで、一桁多い数を発注してしまった(重過失)、などのケースが考えられます。
そうではない時、例えば、レジが大変混んでいてお客様がたくさん並んでいる時に、1万円札で少額の買い物したお客様に、お釣りで、5千円札を渡すべきなのに、間違えて1万円札を返してしまった時などは重過失とはならないでしょう。

もう一つの違法行為は、給料から勝手に不足額を天引きしていることです。 (続きを読む…)

2015年12月30日

もし、給料いりませんと言ってしまったら?

バイト先で小さなミスをしてしまいました。店長から弁償しろと責められて、給料はいりませんと半ば強制的に言わされてしまいました。もう給料はもらえないのでしょうか?というお問い合わせをいただいたことがあります。

そのようなことはありません。働く人にとって一番大事なことは、働いた対価としての給料を全額もらうことです。その最大の権利を放棄する(債権放棄)ことはそうめったにあることではありません。

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2015年9月6日

病気が治ったのに職場復帰させてくれない

主治医の診断書ももらっているのに、職場復帰を会社が拒否するなら、その根拠を示してもらいましょう

病気は治ったが、病気の原因となった上司のいる元の職場に復帰したくない

会社には、社員の健康に配慮する義務がありますから、 主治医の診断書をもとに、別の職場に復帰させるように要求することができます。

休職前の業務ができないなら、職場復帰はさせられず解雇するといわれた

職種を限定して採用されたのでなければ、配置転換により別の業務に従事させるなどして、 雇用を維持する努力をしなければなりません。 主治医の診断書に、従前の仕事は無理でも、それより軽度の仕事ならできるなどの記述があれば、 それを元に別の職場への復職を要求しましょう。

休職期間が終わっても復職できないので解雇といわれた

復職の可能性について、会社が何を根拠に、復職できないと判断しているのか確認しましょう。 別の職種で復職できる可能性があるならそれも要求しましょう。 業務が原因の労災事故による病気やケガの治療のために休職しているときは、 その治療期間と治ったあとの30日間は、法律によって、解雇できません。

労災申請してくれない

労災給付の申請は、災害に遭った本人が本人名義ですることになっています。会社はあくまでも代行で書類を労働基準監督署に持って行くだけです。会社が労災と認めてくれないので申請できないというご相談を受けますが、会社が間違っています。労災認定は労働基準監督署が行うものなので、会社が認めないと言うときは、ご自身で労災申請して全く構いません。ご自身が動けないときはご家族の方でも、社会保険労務士に頼むこともできます。

仕事場で仕事中に怪我したが、会社が労災申請をしてくれない

労災申請は本来はケガをしたり、病気になった労働者本人が申請します。 会社が代行申請してくれないときは、本人またはその親族や、ご依頼を受けた社会保険労務士が、 会社の登録してある(管轄の)労働基準監督署に申請できます。 申請できる期限はケガや病気になったときから2年間なので、会社を辞めたあとでも申請できます。

労災事故で怪我したが、健康保険で治療を受けるように指示された

法律によって、仕事や通勤が原因のケガや病気は健康保険で治療を受けることはできません。 あとで健康保険から問い合わせが来て、仕事や通勤途中のケガや病気であると判断されれば、 自己負担分を除く医療費等は全額返還を要求されます。 健康保険を使ってしまったあとからでも労災に切り替えることはできます。

会社が労災に入っていないので労災申請できない

会社がたとえ労災保険に加入していなくても、事故が起きたあとからでも加入できます。 加入前の事故についても補償してくれますから、会社に今すぐ加入するよう要求しましょう。

会社が労災事故ではないと、申請してくれない

労災事故であるかどうかの判断は会社ではなくて、 労災保険(労働基準監督署)がしますから、本人が申請できます。 ただし、労災と認められないこともあります。

申請用紙はこちらからもダウンロードできます。

仕事が原因の業務災害と、通勤災害用では用紙が違いますのでご注意ください。
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