あっせんって何ですか?

端的に言ってしまえば、会社と社員との間で起きてしまったトラブルについて、公的機関が和解による解決の仲立ちをしてくれる仕組みだと考えていただければよいと思います。 あっせんが扱えるのは社員個人と会社との間のトラブルです。(個別労働関係紛争と言います。) 会社(法人でも個人経営の区別なく)に雇用されて賃金を払われている人なら、パートタイマー、派遣社員、アルバイトなどの名称に全く関係なく、あっせん制度を利用できます。 (続きを読む…)

プレミアムフライデーは早帰り、でも給料カット?

 2月24日から、プレミアムフライデーが導入されるからと、経済産業省やデパートや飲食店、ホテルなどが盛り上がっているようです。

 プレミアムフライデーは毎月の最後の金曜日は早く仕事を切り上げて、日常よりも少し豊かな時間を過ごしましょう。ライフスタイルの変革を目指しましょうという目的のようです。
月末の金曜は,ちょっと豊かに」がキャッチフレーズです。

 たまには早く帰ってリフレッシュしようという考え方は大変良いことだと思います。会社が導入に積極的なら是非参加して下さい。外国ではインターバル制などといって、退社してから次の日の出社時刻は10~12時間後とするような取り組みも行われています。たとえば、インターバル12時間制なら、深夜11時半に会社を出たら、翌朝は午前11時半に出社すれば遅刻にならないということです。日本政府も制度の導入を検討していますが、その前に、プレミアムフライデーを定着させておこうということなのかも知れません。でも来月の3月31日(金曜日)は無理かもです。たいていの会社は年度末・期末ですから、早帰りなんてあり得ないといわれてしまいますね。まあ、臨機応変に対応ということですね。

 ところで、早帰りはいいけど、給料カットされるならごめんだ、という声が聞こえてきています。 (続きを読む…)

コンビニバイト,で休んだらペナルティー

 コンビニ店でアルバイトをしていた高校生が、病気のため休んだら、代わりのバイトを用意できなかったことでペナルティーを取られたという事件がかなり話題となっています(H29/2月)。

 この高校生の親が店のオーナーに事情を確認したら、ウチではそうしてますと言ったとかで、さらに火に油を注ぐ結果となっています。このコンビニの本部はさすがにまずいと思ったのか、労基法違反を堂々と宣言してしまったフランチャイズのオーナーへの対応として、法律違反を認め、事態の収拾を図っているようです。日本で一番大きい、他社のお手本となるべきコンビニチェーンですから、コンプライアンスは徹底してほしいです。 (続きを読む…)

東芝うつ病事件が確定しました

 仕事が原因でうつ病になり、会社の安全配慮義務違反を争った事件(通称「東芝うつ病事件」)の判決が確定しました。最高裁まで行き、差し戻しの高裁判決が8月31日に出て、労働者側のほぼ全面勝利でしたが、その後、会社が上告しなかったので、この高裁判決が確定したことになります。

 うつ病と闘いながら12年もの期間、裁判を続けてきた労働者(重光さん)には本当に良かったとともにお疲れ様でしたと申し上げたいです。なんと、ご本人はブログで職場復帰を目指すと言っているのです。私はその決意に敬意を表したいですし、微力ながら応援したいと思います。。

私もこの事件には大変関心があり、地裁判決から最高裁判決まで読んで、レポートをしたことがあります。そもそもこの事件のきっかけは、ボタンの掛け違いから始まったと思っています。 (続きを読む…)

未払い残業代の請求には証拠が必要

平成28年3月に東京地裁で出た判決から、未払い残業代の請求に必要な証拠について考えてみます。

 この裁判は、そのほかにも賃金減額の有効性を争ったり、パワハラ被害について損害賠償したりと、日本で頻繁に起きている職場のトラブルが何種類も出てきます。
 このうち、賃金減額については別のブログで取り上げてみようと思います。 (続きを読む…)

減給には就業規則の規定が必要

平成28年3月に東京地裁で出た判決から、給与減額の妥当性について考えてみます。

 この裁判は、そのほかにもサービス残業代を請求したり、パワハラ被害について損害賠償したりと、日本で頻繁に起きている職場のトラブルが何種類も出てきます。
このうち、サービス残業代の請求については別のブログで取り上げます。

 この裁判の判決文は最高裁判所のサイトには載っていないのですが、私は神奈川県立図書館で利用できる、第一法規法情報総合データベース(D-1Law)で見つけて読みました。この判例検索システムは、よく利用させてもらっています。

 この裁判で、原告(退職した労働者)は、8回も給与減額の処分を受けていて、部長代理に昇格したときに上がった月給58万円から最終的に35万円まで下げられています。被告(会社)の言い分は、懲戒処分として行われたもので、就業規則に基づいて行われたものだ、ということです。
ちなみにこの原告社員は昭和52年4月に入社し、勤続30年目の平成19年1月頃技術部の部長代理に昇格しています。 (続きを読む…)

突っ込みどころ満載の労災裁判-6

 チョコレートの販売会社で直販店の店舗管理、在庫管理などを担当していた若手社員が、過重労働によりうつ病にかかり自殺してしまったのですが、死亡直前2ヵ月の残業時間は172時間と186時間でした。この痛ましい事件に対してご両親が原告となって会社や社長らに損害賠償を請求する訴えを起こしました。その判決文を読んで、被告会社が主張(反論)した内容について突っ込みを入れてきましたが、この裁判の結果をお知らせしていませんでした。ただし、あくまでも第1審(東京地裁)の判決です。

 結果は原告の勝訴で、この判決で確定しています。 (続きを読む…)

突っ込みどころ満載の労災裁判-5

 チョコレートの販売会社で直販店の店舗管理、在庫管理などを担当していた若手社員が、過重労働によりうつ病にかかり自殺してしまったのですが、死亡直前2ヵ月の残業時間は172時間と186時間でした。この痛ましい事件に対してご両親が原告となって会社や社長らに損害賠償を請求する訴えを起こしました。その判決文を読んで、被告会社が主張(反論)した内容について突っ込みを入れてきましたが、今回が最終回で、過失相殺のことについてです。

 それでは見ていきましょう。

  1.  「D(死亡した社員)のミスについては、被害者の過失として斟酌されるべきである。」(被告らの主張)ウ

     この裁判は、原告が被告らに、損害を金銭によって賠償しろと訴えている事件なので、被告は、賠償金額を少しでも減らしたいと(できれば全く払わずに済ませたい)いろいろと主張(反論)しているわけです。 (続きを読む…)

突っ込みどころ満載の労災裁判-4

チョコレート製造販売会社で直販店の店舗管理、在庫管理などを担当していた若手社員が、過重労働によりうつ病にかかり平成23年12月28日に自殺してしまったことについて、ご両親が原告となって会社の責任を争った裁判で、被告(会社)がどのように反論していたかについて見ていきたいと思います。
前回に引き続いてさらに被告の主張の続きを見たいと思います。前回同様、ページ数は、判決文PDFのページ番号です。

  1. 「コールセンター時代の残業は、Dが業務上の必要がないのに自らの意思で担当業務とは別の業務を手伝っていたので、被告Cは残業を抑制するよう注意指導していた。」9ページ目下段イ-(ウ

     これも会社がよく使う弁明の手法です。つまり、社員が本来ならやらなくてよい仕事を勝手にしていたのだから、これは仕事ではないのでその時間に対する賃金(通常は残業代)は払わない、というものです。確かに、そう言われればそのとおりかもしれないと思ってしまいますが、そんなに簡単なことではありません。
     時代遅れの考え方だとご指摘を受けそうですが、労働基準法の中では、働くということは会社の指揮命令を受けてその仕事をこなすことと考えられています。これは、昔の工場の生産ラインで働く人を想定しているといわれていて、決められた仕事を決められた時間こなすことで給料がもらえるということでした。残業も、会社が「今日は1時間残業」と命令してそれにその生産ラインの全員が従って残業したわけです。私も今から40年ほど前、夏休みに電気製品の生産工場でバイトしたことがありますが、残業は上司が決めていました。そのときは、私にも「今日は1時間残ってくれ。いいね?」といわれたのを思い出しました。労基法の中では労働に対する給料の支払い基準は労働時間が基本となっているのです。これが一番客観的で不公平がないからです。

     そうすると、「会社は残業を命令していない。勝手に残っていたのだから残業代の支払い義務はない。」とか、この被告会社のように、「業務上の必要がないのに自らの意思で別の仕事をしていた」という言い分が出てくるわけです。 (続きを読む…)

突っ込みどころ満載の労災裁判-3

チョコレート製造販売会社で直販店の店舗管理、在庫管理などを担当していた若手社員が、過重労働によりうつ病にかかり平成23年12月28日に自殺してしまったことについて、ご両親が原告となって会社の責任を争った裁判で、被告(会社)がどのように反論していたかについて見ていきたいと思います。

被告の主張の続きを見ていきましょう。前回同様、カッコ内のページ数は、上記の判決文PDFのページ番号です。

  1. 「被告Cは、D(亡くなった社員)がコールセンターのマネージャーに昇格してからは管理監督者であるという認識でいたため、労働時間の管理を行っていないし、被告Eも同様である。」9ページ目上段イ-(ア)

     管理職には残業代が出ないので、1ヵ月間に何時間働いたかを管理する必要がない、というのが会社の言い分です。残業代が出る社員については、残業代を計算するためにも労働時間の管理が必要になります。そして、残業時間が多い(たとえば、1ヵ月100時間以上など)ということがわかれば、会社も社員の健康管理上、業務量の調整など必要な配慮をしなければなりません。でも管理職には残業代が発生しないから、労働時間の管理はしていなかった。だから、そんなに長時間働いていたことは知らなかったから、社員Dの自殺については会社は予見できなかったし、責任もない。

     これは典型的な責任逃れの言い分ですね。 (続きを読む…)

突っ込みどころ満載の労災裁判-2

 チョコレートの販売会社で直販店の店舗管理、在庫管理などを担当していた若手社員が、過重労働によりうつ病にかかり平成23年12月28日に自殺してしまったことについて、会社の責任を争った裁判で、被告(会社)がどのように反論していたかについて見ていきたいと思います。
 一般的に原告が主張していることがすべて真実で常に正しいとは限らないので、被告の反論にも耳を傾けておく必要があります。

 それでは被告の主張を見ていきましょう。前回同様、ページ数は、判決文PDFのページ番号です。
  1. 「被告Cが加入していた労災保険を利用できるように配慮した結果である」8ページ目中段ア-(ア)
    これだけでは何を言っているのかわかりませんね。状況を整理しましょう。
    亡くなった社員は、被告Cの社員でしたが、死亡当時は、被告Eという子会社に在籍出向していました。被告Eはチョコレートの販売会社です。
    出向社員が被災して労災給付の申請をするときに、出向先(被告E)の労災保険を使うのか、出向元(被告C)のを使うのかは、その出向社員がどちらの会社の指揮命令を受けて働いていたか、給料はどちらの会社から払われていたなどによって決まります。

    原告(亡くなった社員のご両親)は主張の中で、出向元の労災保険を使って給付が出ているのだから、息子がうつ病になって自殺してしまうほど過重労働させたのは出向元にも責任がある。したがって、出向元にも損害賠償請求すると主張しているのに対し、出向元は、この社員は子会社に出向した社員であって、出向先の指揮命令に従って働いていたのだから、社員が自殺したことについては、出向元には責任はないと反論しています。

    あれっ?出向先の指揮命令を受けて働いていたのなら、出向先の労災保険を使うべきだったのではないか?と突っ込みたくなりませんか? (続きを読む…)
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