もし、給料いりませんと言ってしまったら?

労務トラブルQ&A,給与問題 — タグ: — 2015年12月30日6:50 PM

バイト先で小さなミスをしてしまいました。店長から弁償しろと責められて、給料はいりませんと半ば強制的に言わされてしまいました。もう給料はもらえないのでしょうか?というお問い合わせをいただいたことがあります。

そのようなことはありません。働く人にとって一番大事なことは、働いた対価としての給料を全額もらうことです。その最大の権利を放棄する(債権放棄)ことはそうめったにあることではありません。

アルバイトの方が完全な自由意思に基づいて、給料はいらないと言ったたのであれば、会社としては、社員が債権放棄したのだから、給料は払わなくてもよいという言い分もあるかもしれませんが、このケースのように、店長からミスを責め立てられて、「どうするんだ」とか「大人なんだからどうすべきかわかるよね?」、などとプレッシャーをかけられたような状態では、その場を収めるために、その気はなかったのだけれども「給料いりません」とか、「給料から引いてください」と言わされてしまったということもあるでしょう。これでは完全な自由意思に基づいて言ったということにはなりません。

こうしたことはよく起きているので、できれば、「給料いりません」とは言わないで、「すみません、今後十分気を付けます。」と言ってください。「損失は全額お前が弁償しろ。」と言われたら、「はい」とは絶対に言わないで、むしろ損害額と自分の賠償額がいくらになるのか確認しましょう。具体的な金額もわからずに、損害を弁償するなどと約束してしまったら大変なことになります。(もちろん自由意思の下で言ったのでなければ、約束したことにはなりませんが、それを立証することが大変です)

ただ、それもかなり勇気がいることですし、相手を余計に怒らせてしまうようなら、ともかく損害の一部については賠償するつもりはあるにしても給料を放棄する意思がないことを伝えてください。 例えば、「それは困ります。」などが良いです。あるいはひたすら黙っているか。。。

それでも、「給料から引いておくから」と言われてその通り給料が減らされていたら、完全な労基法24条違反ですから、労基署マターになります。

ただし、ここで注意することがあります。給料はいりませんなどと紙に書かないことです。 強要されたのでなければ(これも証明することはむずかしいです)、自分の意思を書いたものだとみなされて、あとからそのようなつもりはなかったと言って、翻すのは結構大変です。書類に残すということは相当な責任を負うことになると思ってください。

給料日になっても振り込まれないとか、働いた時間分より少ない金額しか振り込まれていないということがあったときは、できるだけ速く専門家に相談してください。