採用されましたが雇用通知書をくれません

会社に雇用されて働くということは、会社と社員との間に契約が成り立っているということです。

社員側からすれば、会社の命令に従って、働くという義務を果たすので、働いた分の賃金を受け取る権利があります。
会社は、社員を命令通りに働かせることができる権利がある代わりに、賃金を払う義務があります。

このような、立派な契約が成立しているのに、契約書がないなんて考えられますか?

でも、よくあるのです。
特に、パートタイマーの方や,期間契約社員の方達の中には、雇用契約書も雇用通知書ももらっていないまま
働いている人がたくさんいます。
 何も問題がなければそのまま働いていればよいのですが、もらっている時給が自分の理解と違うとか、通勤手当は全額くれると
面接の時に社長が言ったのに、支給されていないとか、ボーナスが出ると聞いていたのに、もらっていないなど、ひとたび会社と
社員との間に食い違いが出ると、問題は大きくなってしまいます。
いわゆる、言った、言わないの応酬になります。

そこで、労働基準法15条では、会社に対して、給料などの重要な労働条件については、きちんと紙に書いて、それを労働者に渡しなさいと命令しています。
これに違反すると(つまり渡さないと)30万円以下の罰金が課されることもあります。

それでも書面で労働条件を通知することをいやがる社長さんもいます。
社員としては、社長さんよりも立場が弱いので、なかなか
「雇用通知書を書面で下さい。」とは言い出せないですね。
その内、不満はあるものの、なんだかうやむやのうちに、時が過ぎてしまうことがよくあります。

ではどうしたらよいでしょうか?

1.勇気を持って会社に雇用通知書(又は雇用契約書)をくれるように要求する。
  もし内容が自分の理解と違っていたら、それを指摘して、会社と話し合いの上合意点を見つける。
   → これはなかなかできないですね。

2.会社を辞めてから、会社に対して、食い違いについて指摘し、差額を払うように要求する。
  会社が拒否したら、個別労使紛争解決支援の仕組みを使って請求する。
   → 労働局長のあっせん、労働審判、簡易裁判所の少額訴訟など方法は色々あります。

このどちらの方法をとっても、必ず必要なものが、証拠です。
言った、言わないの報酬に決着をつけるためです。
 会社が書面を出さないのなら、社員側は、何でも良いですから書類を出しましょう。

例:ハローワークで入手した求人票、民間の求人誌の求人広告、面接で聞いたことをメモした紙片など。
  又、今までもらった給与明細書(これは結構大事です)

 これらのものは絶対的なものではありませんが、少なくとも書類ですから、食い違いについて指摘して、差額を払ってもらうよう請求するときには、
これらの書類もある程度の効果があります。

求人票と給与明細書は捨てずに取っておきましょう!