あっせんにはどのような職場のトラブルが持ち込まれているのですか?

あっせんで解決,トラブル解決法 — 2015年12月25日4:43 PM

東京労働局が発表している、平成26年度に受け付けたあっせん件数1,073件の内訳があります。労働基準監督への相談件数が11万8千件でしたから、このうちあっせんに持ち込まれた割合は少ないとも思えます。件数はわかりませんが、労基署へ相談したあと、労働審判に行ったケースももちろんあると思います。

受け付けられたあっせんの中で一番多かったトラブルは、いじめ・嫌がらせで、約35%でした。いわゆるパワハラのことだと思います。あっせんだけでなく、労基署への相談の中でもいじめ・嫌がらせは25.4%と一番多いトラブルとなっていました。

パワハラは立証が難しく、証拠もそろいにくいという事情があるので、事実認定をしないあっせんはトラブルの解決(和解)に向いていると思います。

2番目に多かったトラブルは265件で全体の約25%の解雇です。このうち、普通解雇が238件、整理解雇(人員削減)が16件、懲戒解雇(ペナルティーとしての解雇)11件となっています。

3番目と4番目は順に退職勧奨146件、雇い止め138件となっています。この2つは、解雇とともに労働契約の終了とカテゴリーに入るので、3つ合わせると、549件となってあっせん受付件数の半数以上となります。

退職勧奨は、おそらく名ばかりの勧奨で、実態は、退職の強要だったり、辞めたくないと行っているのに繰り返し勧奨したり、中にはパワハラまがいの人格の否定につながるようなものもあるのではないでしょうか?

雇い止めというのは、契約期間が決まっている労働契約で働いている人に,「契約が終了したので辞めてください。」といって辞めさせるやり方です。
通常、期間満了で契約終了なので、違法性はないということを会社は言い張るのですが、雇い止めについては、「有期労働契約の締結、更新及び雇い止めに関する基準」が決められていて、雇い止めする場合の手順が定められていますし、労働契約法19条では、条件がそろえば、雇い止め自体が無効とされて、その契約が更新されると決めていますから、急な雇い止めはは法律違反となる可能性が高いと言うことです。
法律違反となれば、解雇無効と同じで、雇い止め無効となりますから、契約は更新されて、また元通り働けると言うことになります。

何年も働いてきたのに、いきなり「はい、明日で契約終了です。」と言われたら、極端な場合はその日から生活していくことができませんね。

こうした一方的かつ悪質な雇い止めに対しては法律による、無効かつ強制的な更新という対抗措置がある事を忘れないでおいてください。

大事なことが一つだけあります。
こうした急な雇い止めに対しては「それは受け入れられません」とか「いきなり言われても困ります。」と言ってください。

もっと言える余裕があるなら、「今まで何の問題もなく更新してきたのに、何の理由も告げられず、契約終了の前日にいきなり更新しないと言われても私も生活があるので、とても受け入れられません。更新してください。」位言えるとよいです。紙に書いて渡しても構いません。


これは、契約終了日に雇い止めされた場合だけというわけではなく、1ヵ月前より短い期間しか残っていないときに雇い止めの通告をされた場合が当てはまります。


その場では何も言えなくても、翌日やあまり時間がたたないうちに、雇い止めは受け入れられないという趣旨のことを伝えればよいことになっています。