介護休業はなぜ93日しかないの?

コラム — タグ: — 2016年3月30日5:36 PM
介護離職ゼロ政策を掲げている現政権ですが、法律上取ることができる介護休業は最大93日となっています。
また、雇用保険から支給される介護休業給付金も93日が上限です。会社がもっと長期間の休業を認めれば別ですが、そうでない場合には、会社の規定もMAXで93日の介護休業がとれることとなっていると思います。

実際の介護ではとても93日では終わらないから、現実的ではないと考える方がたくさんいます。

ところが、介護休業の本当の目的は、少し違うところにあります。

たとえば、自分の親が要介護状態となったと思われるときには、介護保険を使って、介護サービスを受けられるように手配をすることになるわけですが、この手配にはかなりの手間と時間がかかります。
親が住んでいるところにケアマネージャーに来てもらわなくてはならなかったり、手すりなどを付けてもらうための工事に立ち会わなければならなかったり、そういった意味で、会社を休まなければならないことが多くなるので、法律で介護休業の制度を作り、休みやすくするようにしたということなのです。

この93日の範囲内であれば、丸1日休まなくても短時間勤務に切り替えて働くこともできるし、介護休業とは別に、毎年5日まで(要介護者が2人以上の場合は10日まで)の介護休暇も取れるようになっています(1日ずつばらばらに取ることも可能)。

要介護の親が、日常的に介護サービスを受けられるようになれば、自分は会社を長期に休まなくても(あるいは辞めなくても)良くなるので、準備だけはよくしておきたいわけですから、この介護休業期間(給付金ももらえる)を活用することが期待されているのです。

介護休業を、親の介護をするための休業期間だと考えてしまうと、とても短くて足りないから会社を辞めざるを得ないとか、会社も、戻ってこられないなら休業しないですぐ辞めてほしいとかといった方向に話が行ってしまいます。
そうではなくて、そうならないために、介護サービスを受けられるように準備するための期間ということであれば、介護休業も申請しやすいのではないでしょうか?

今年4月1日から改正される雇用保険法では介護休業給付金も増えるということなので、介護離職を回避するためにも介護休業の趣旨を理解して活用してください。