コンビニバイト,で休んだらペナルティー

コラム — タグ: , , , — 2017年2月4日8:44 AM
 コンビニ店でアルバイトをしていた高校生が、病気のため休んだら、代わりのバイトを用意できなかったことでペナルティーを取られたという事件がかなり話題となっています(H29/2月)。

 この高校生の親が店のオーナーに事情を確認したら、ウチではそうしてますと言ったとかで、さらに火に油を注ぐ結果となっています。このコンビニの本部はさすがにまずいと思ったのか、労基法違反を堂々と宣言してしまったフランチャイズのオーナーへの対応として、法律違反を認め、事態の収拾を図っているようです。日本で一番大きい、他社のお手本となるべきコンビニチェーンですから、コンプライアンスは徹底してほしいです。

 でも、この種のことは結構頻繁に起きていて、アルバイトの人たちが結局泣き寝入りしているのが実態ではないかと思うのです。今回親御さんがツィートしたことで多くの人が店の行った行為の違法性を指摘して、事件が明るみに出ました。

 コンビニ店でのバイトにまつわる問題はいろいろとあるようです。似たようなケースでは、レジの現金残高が合わないとき、その不足分をレジ担当のバイトに埋め合わせさせる(自腹)ことも行われていると聞きます。また、休めない、辞められない、学校に行けないといったことも聞かれます。バイトの中には留学生もかなりいて、日本の法律をよく知らない(日本人も同じ?)ために、劣悪な労働条件で働いていることもあるそうです。

ここからは、今回のペナルティー事件のどの部分が労働基準法に違反してどこはセーフなのか見ていきましょう。

労基法違反の部分:
  1. ペナルティーを引いて払ったこと(労基法24条違反):
  2.  給料は全額を現金で本人に払わなければいけないという決まりがあります。店(雇用主)側で勝手にペナルティーを差し引いて給料として払ったら、「全額払いの原則」違反です。
     ただし、税金や社会保険料などは給料から引いても法律違反になりません。今回は給与明細書にふせんを付けてペナルティー9,350円とまで書いてあったようですので、明らかに店が意思を持って全額払いの原則に違反する行為を行っていますね。今回だけのことではなさそうですね。24条違反は労基法120条により30万円以下の罰金に処せられるとなっています。労基法違反の罰則規定は117条から121条まであります。
     ところでこの罰則規定は、会社だけでなく、違法なペナルティー控除を命令した人(たとえば人事課長)の両方に処分が科せられます。(両罰規定と言います。)


  3. ペナルティーの金額が大きすぎること(労基法91条違反):
  4.  24条の規定と矛盾しますが、雇用主が就業規則(雇用主が決めたと働き方のルールが書かれているもの)で決めれば、ペナルティー(つまり罰)を給料から引いても良いとなっています。
     ただし、その金額は法律で上限が決められていて、それ以上引いてはいけないことになっています。給料は生活費として必要なものですから、青天井で引かれてしまっては生活ができなくなってしまうからです。
     上限はいくらかというと、1回について平均賃金(過去3ヵ月間の給料総額の平均)の1日分の50%です。これが何日も続くと極端な場合は給料の半分が引かれてしまうので、1回のペナルティーの合計が1ヵ月分の給料の10%までとなっています。
     たとえば、月給20万円の人が、遅刻1回で5,000円のペナルティーを取られる事が決まっている会社で働いていて、社員もそれを知っている場合に、ある月に5回遅刻をしたら総額では5×5,000=25,000円になりますが、1月の上限は20万円の10%の2万円ですから、会社が25,000円引いたら違反となります。たとえ社員が25,000引かれてもいいですと言っていても違法です。
     今回の事件では9,350円のペナルティーは、2日分のバイト代に相当するようですから、1回の上限金額も1ヵ月の上限金額も超えていますね。91条違反はほぼ確実ですから、この違法行為も120条により30万円以下の罰金に処せられるかも知れません。


  5. そもそも就業規則がなければペナルティーは取れない(労基法91条違反):
  6.  この店に就業規則があったかなかったかは報じられていないませんが、もし規則があって、その中でペナルティーを取ることを決めている(法律では、減給の制裁と言っています)のでなければ、つまり就業規則が店にないのなら、そもそもペナルティーは1円も取ってはいけないことになります。
    「昔からウチの店ではこのルールがあるのだ」とか「本人には説明済みだから」と言っても違法なことには変わりありません。


労基法に違反しない部分:
  1. ノーワーク・ノーペイの原則:
  2.  働かなかった時間はその分の給料は払われない、というノーワーク・ノーペイの原則があります。
     このアルバイトの場合も月に35時間働くことになっていたけれど、病気で10時間働けなかったから、この月は25時間分の給料しかもらえなかったわけです。でもこれは違法ではありません。働いた分だけの給料しかもらえないのは大原則です。労基法24条の賃金全額払いの原則も働いた時間や日数分の給料の全額のことを指しています。逆に残業があればその時間分全部について残業代が払われなければなりません。
     また、仕事中に仕事が原因で病気やけがをして働けなかった場合(労災の業務災害と言います)も会社からは、休んでいた時間や日数分は給料が出ません。その代わり労災保険から、治療費や所得保障が出ます。


  3. 給料を現金で払っていること:
  4.  労基法24条では雇用主に、給料は通貨で払うことを命令しています。つまり現金(それも日本円)払いが原則です。社員が振り込みでも良いと合意すれば、社員名義の口座等に振り込みすることもできるのです。このコンビニは現金で給料を渡しているので、この点については法律通りです。


  5. 時給は最低賃金を上回っていること:
  6.  当たり前のことですが、最低賃金以上の時給を払っているので違法性はありません。せっかくですので現行(平成28年10月以降)の都道府県別の主な最低賃金を確認しておきましょう。
    東京:932円、神奈川:930円、愛知:845円、大阪:883円、京都:831円、兵庫:819円、福岡:765円
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働いていると、これはおかしいと思えることが出てくるかも知れません。会社や雇用主から納得できるような説明がもらえなかったときは是非専門家に相談して下さい。