あっせんのメリットは何ですか?

あっせんで解決,トラブル解決法 — タグ: — 2015年9月21日5:11 PM
あっせんには、裁判と比べていくつかメリットがあります。

まず、あっせんは非公開だと言うことです。あっせんの申立の内容や、あっせんの場で話されたことは一切外に出ませんから、プライバシー保護の意味からも非公開であることは、利用価値があります。

第2のメリットは、短期間に解決する可能性が高いということです。あっせんは申立をしてから約1ヵ月後に、当事者が呼び出されて、双方の言い分をあっせん委員(仲介役と思って下さい)の方が聞いて、解決の仲立ちをしてくれる場が設けられるのですが(期日といいます)、あっせんでは、原則としてこの1回で解決を試みるので、紛争当事者が合意に達することが出来れば、そこで和解成立となります。
労働政策研究・研修機構(JILPT)の調査によれば、あっせんの申し立てから和解成立までの平均的な期間は1.6ヵ月となっています。裁判が和解ができたケースでも平均で10.8月くらいかかる事に比べればずっと早いです。
トラブルの解決は、早ければいいというものでもありませんが、あっせんを申し立てた方も合意して和解できれば、気持ちを新たにして再就職活動できたり、転職先で仕事ができるという大きなメリットがあります。裁判を抱えながら、会社の仕事をするというのはものすごくつらくて大変なことです。

公的機関に依頼して紛争解決をする場合に、短期間での解決では、このあっせんか、簡易裁判所での少額訴訟が1・2を争うのではないでしょうか。あっせんに持ち込まれる事案の約70%は解雇といじめ・嫌がらせの問題です。解雇された方はもちろん、いじめや嫌がらせを受けた人もほとんどの場合は会社に行けていないでしょうから、一日も早く決着して、職場復帰するなり、別の仕事を見つけないと、給料が出ていませんから、生活してゆくことが出来ません。その意味でも早期解決は労使間の紛争解決にはとても大事なことです。もちろん、会社側も、紛争解決には多数の社員の労力を必要としますし、弁護士等の援助を受ければ費用もかさみます。その割には、勝っても負けても、会社業績に何らの関係もないので、早く解決したいと望むことが多いのです。

第3のメリットは、期日に相手方と会わなくてよいということです。通常は、片方があっせん委員と話し合っているときは、自分は、控え室で待っています。自分が呼び出されてあっせん委員と話をするときは、相手方は別の控え室に入っていて、最後まで顔を合わせずにすみます。トラブルの中身によっては、相手(の会社)とは2度と会いたくないということもあるでしょうから、このような場合にはあっせんはうってつけです。労働局のあっせんはこのように紛争当事者が同席しないことにしていますが、民間ADR機関では、同席させるとしているところもあるようです。

第4のメリットは、紛争解決は和解が原則ということです。つまり問題の解決方法について両者が合意書を取り交わすということです。第三者に一方的に命令されるのではなく、紛争当事者があっせん委員を通してではありますが、解決方法について、お互いに合意したことについては、ほぼ実行されるものです。
これは人間の心理をついたもので、心の奥底に詰まっていたものをはき出してしまうと、気持ちは解決に向けて前向きになります。また、合意書に署名押印するということの重さも、解決策の実行を後押しします。
逆に、白黒をはっきりとさせたいとか、合意書ではなく、解決はしたいのだが判決をもらわないと社内で通らないといった事情がある場合は、別の手段で解決を図ることになります。

最後に、あっせんは、お金がかからないということです。裁判や労働審判では、裁判所に納付する費用が発生しますが、あっせんは、申立書の作成まですべて自分でやれば、費用はかかりません。

もちろん特定社会保険労務士などの有資格者にアドバイスをしてもらったり、申立書を書いてもらうとなれば、その費用はかかりますが、自分の訴えたいことを法律的に論理的に主張するのはなかなか難しいものですから、是非特定社労士を活用して下さい。
申立書をどのように書くかはまた機会を改めて書きますが、「どうしたの?」「誰が何したの?」「何がいけないの?」「どうしてほしいの?」といったことが、きちんと書かれていないと、あっせんによる解決もスムーズに行きません。(争点の整理がされていない状態ではあっせん委員も仲立ち役として困ってしまうということです。)

労使トラブルの解決にはあっせんも是非選択肢の一つとしてお考え下さい。